第2話

この世界は まだ 魔女を知らない

かつて 人と魔女の戦いがあった事を知らないのだ


私は私を認識した時 もう この世界に立っていた

血と感情が 肉と感覚が すぐに私を魔女だと自覚させる


空に昇り世界をみわたした

人々は優しい表情で互いをいたわり

尊重の念を抱きあう優しい世界だった


「ああっ 慈愛に満ちている」

胸があたたかい

心地良さにとらわれる

しばらく至福の時をあじわった


この世界にも幾人もの魔女がいる事に気がついた

自覚が…ない?…

いや…

何人かは魔女の力が溢れている

「会いにいってみようか」

(まだ… だめ…)

声が聞こえたような気がして留まった

いづれ皆私に気づくだろう


それまでは…

「そうだ 彼女たちが気軽に集える場所を創ろう」

笑顔が溢れるその日には…

「きっと皆喜んでくれるわ」

想いが満ちるその時には…

「幸せになるの」


そう この世界は まだ魔女をしらない

人々が魔女を知った時に起こる心の変化が

私にはわからなかった


かつて

人と魔女の戦いがあった事さえも…

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