コンストラクタ

しろだん

第1話

幼きとき 人をみた

鉄を全身にまとい剣を用いて

わたしの同属を次々に蹂躙する醜い獣だ

子供 女 年老いたもの

力を持たないものは獣の格好の餌となった

幾度日が昇り 落ちただろう

奪い奪われ破壊されてなお

殺し合いは終わりをみない


みにくい

みにくい

みにくい


嫌悪と憎悪で張り裂けそうだ

消えてなくなればいいのに…

そうだ

醜い獣がいなくなれば

こんなに苦しまなくていいんだ

消してしまおう 破滅の言の葉

全てを無に帰す魔法の言葉


わたしは全てが見渡せる高い場所へ昇り

嫌悪と憎悪を言の葉に混ぜて吐き出した

それは人の上に降りそそいだ


やがて叫びと悲しみ 失望と絶望が地に満ち溢れ

憎しみと憎悪になって

わたしの心に入り込んできた


いたい

いたい

いたい


獣がいなくなれば苦しまなくていいと思ったのに

いたい

もうだめ

裂けそう

消えたい…


破滅の言葉をわたしのために唱えた

これで… …になれ……


「……」

私は時々この夢を見る

少女が微笑みながら消えてゆくとこで目が覚める


(戒めだ)

胸の奥が痛くなり涙が溢れてくる

唇を噛み 押し殺す

私は時々この夢を見る


さあ

戒めの糧をもらった

もう

前に進める


いつものように

いつもの仕事を始めよう

魔女と人が幸せになれる場所を創るために















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