第182話 03.パーティ編成
★★★ベルギウス★★★
ノーラ王妃は、黒魔術の第一人者だった。
人間だけれども、そんじょそこらのエルフよりもよっぽど魔力が強い。
そして、厄介なのが闇属性の魔術を操れる事だ。
闇属性の魔術を唱えられるのは、エルフでもなかなかいない。
倒すにしても、しっかりとパーティを組んで作戦を立てて、準備を万全にして挑まなければならない。
物理攻撃はフローマーとドミニクを中心に、ディートリッヒ王に頼んで、優秀な戦士を10人ほど選んでもらおう。
フローマーの聖なる剣は、闇属性に専ら強い光属性の剣だから大いに役立つはずだ。
あとは魔術がしっかり使えるエルフが必要だった。
これはアクセル王に相談しなければならないな…。
ヴァルプルギス村の村長のアドバイスはシングルムーンの日に倒しに行くことだった。
シングルムーンの日は、魔力が弱くなるためだ。
ノーラ王妃の魔力が強力すぎるので、シングルムーンの日に作戦に臨みたい。
自分のパーティーの魔力も落ちてしまうが、最悪回復魔法さえかけてもらえればよ良いし、ノーラ王妃の耐物理攻撃はそんなに強くないようだから、黒魔術の合間を縫って戦士が物理攻撃できれば…。
シングルムーンまで、2か月近く日数がある。
それまでにしっかりと準備をしよう。
★★★
次の日、僕はドミニクとフローマーを連れて、コルネリア王国にやってきた。
「お前がコルネリアで大臣というのは本当だったんだな。」
僕の執務室に入るなり、遠慮なくソファーに座り、でかい態度でドミニクが言った。
「僕の紫マントを毎日見ていただろ?
ちゃんと王宮の紋章はいっているんだから。」
「あはは。それでも半信半疑だったんだ。
まさか人間がエルフの国の大臣なんてな。」
もちろんドミニクもフローマーも、ノーラ王妃を倒しに行くことを了承してくれている。
ノーラ王妃が禁忌の魔術を使っているのを目撃した日、僕は細心の注意をはらって、その場から離れたが、ノーラ王女に気づかれていないか不安があった。
万が一気づかれていたら、僕の命はないだろう。
だからすぐにレオンハルト王国を離れた。
しばらくは、このコルネリア王宮でドミニクとフローマーと過ごすことにした。
王宮ならいくらノーラ王妃でも手荒は真似はできまい。
執務室にフローマーとドミニクが寝泊りできるようにベッドも用意した。
犬猫なので、ベッド必要?と一瞬思ったが、それは内緒にしておこう。
アクセル王への謁見の時間になり、僕は部屋へと入れてもらった。
人払いをして、僕とアクセル王の二人だけにしてもらい、さらに用心をして小声で報告をした。
「ノーラ王妃が…?!」
アクセル王は、非常に驚いていた。
「ノーラ王妃を倒すために、光属性と白魔術を操れるエルフを10人ほど選出してほしいのです。
もちろん、戦士はレオンハルト王国から10名ほど選出の予定です。」
「ノーラ王妃の魔力はすさまじいと聞く…。
厳しい戦いになるだろうな…。」
アクセル王は、しばらく考えていた。
「わかった。
ティアナを筆頭に10人選出しよう…。
昨今、平和が続いていて、戦闘の経験があるものが王家ではティアナしかいない。」
「王様!危険な戦いになります。王女様を選出されるとは!」
「危険な戦いだからこそ、王家の人間を選ばなければならないのだ。
魔力が一番強いから、王家なのだ。」
ティアナとは、もう顔を合わせたくなかった。
が、仕方ないようだ…。
「もう一つ条件がある」
いったいどんな、条件なんだ。
しかし魔力の強いエルフの協力は絶対必要だ…。
どんな条件でも飲むぞ!
「ティアナとの結婚だ。」
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