第151話 20. コカトリスとの戦闘

 賢者の壮太君と一緒にツークシュ山に向かう。


 3日くらいの旅なんだけど、シングルムーンの日があたりそうで少し怖い。


「ニャー!(一週間ずらして!)」と一生懸命伝えたものの、やっぱり伝わらなかった…。


 猫語は人間には難しいみたい…。


 夜のモンスターは強いから歩かないだろうし、壮太君はすごく寝つきが良いから、人間になる時間帯は寝てるはずだし、たぶん大丈夫だとは思うけど…。


●●●


 モンスターが現れた!


 壮太君がプレゼントしてくれたオステオスペルマムの剣で、私が時間をかせぐ!


 その間に壮太君が魔術を詠唱して、魔法で倒す!


 すごい弱いモンスターは私が倒しちゃうけど、だいたいはこのチーム戦で戦える。


 うん!オステオスペルマムの剣、使い心地もいいし、戦闘がすごく楽になった!


 私、すごい壮太君の役に立ってるみたいで、めっちゃ嬉しい!



 そんな二日目の夕方。


 やっぱりシングルムーンだ…。


 昨日、夜空を見たときに、一つだけ満月で、他の二つが薄い三日月になっていたので、今日か明日がシングルムーンになりそうだと思っていたのだけど…。


 壮太君は寝つきがすごい良いので、早めに休みを取って、早く寝てくれたら良いのだけど…。


「んにゃーん。(そろそろ野営の場所を探した方が…)」


「いや、もうちょっと進もう!」


 もうちょっとなら良いけど、人間に戻る時間から、ご飯の時間を考えたりすると、そろそろ休みたいな…。


 どうしよう。困った。


 

 と、突然、モンスターが現れた!


 

 コカトリスだった。


 とても大きなモンスターで、下半身は鶏、首から上は蛇だった。


 俊敏で毒唾をはいてくるので、ちょっと厄介。


 

「フローマー行けるか!」


 コカトリスは攻撃態勢に入っていて、今逃げたら背中から攻撃されてしまう!


「にゃー!(行けます!)」


「毒攻撃は食らわないようにな!」


 

 コカトリスは素早いけど、猫の私だって素早さなら負けてないっ!


 オステオスペルマムの剣で、コカトリスの注意を引き付ける。


 後ろで壮太君が火の魔術を唱えているのが聞こえる。



 

 コカトリスに火の精霊がクリアヒットして煙に包まれる。


 煙に隠れているけど、全然魔術が効いていないが分かる!


 属性が合わなかったんだ!



 

 コカトリスの目線はまっすぐに壮太君を見ていた。


 ちがう!私を見なさい!


 剣を振るったけど間に合わず、コカトリスは壮太君めがけて毒唾を吐いた。



 

 壮太君はよけきれず、毒唾にあたってしまった!


 壮太君はその場に倒れてしまったが、そのまま、雷の魔術を詠唱し始めた。


 雷の精霊がコカトリスにヒットする!



「ギャアアアアアアアア!」


 今度は痛がってる!利いてるみたい!


 私は思い切りジャンプし、コカトリスにオステオスペルマムの剣を突き刺した。


「ギャアアアアアアア!」


 コカトリスは叫び、羽を広げてバタバタしたが、白目になり、その場にどさりと倒れた。


 

 

 コカトリスを倒した!



 コカトリスが倒れたのを確認し、私は急いで壮太君に駆け寄った。


「にゃー!(壮太君!)」


 大丈夫?さっき毒唾にあたってなかった?!


「ごめんな。フローマー。かっこ悪すぎだな。」


 急いで、靴を脱がしてみると、足が紫色になってる!



「んにゃー!んにゃー!(コカトリスの毒が回ってる!)」


「大丈夫だよ。フローマー。


 毒消しは簡単につくれるんだ。


 ドラゴンアイとロータスの実っていう薬草を取ってこれる?」


 そ、そんな草わからないよ!


「僕はもう動けそうにないんだ。


 フローマー、君が行ってくれるね…。」


 そ、そんな事言われても…。


 壮太君は意識を失ってしまった。

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