第150話 19.オステオスペルマムの剣


 壮太君は毎日のように忙しそうだった。


 テーグリヒスペック城で黒魔術の講義を受けているみたい。


 それで、雄株と雌株をまちがえるとどうとか話してくれた。


 そうこうしているうちに、あっという間に3か月がたち、またシングルムーンの日がやってくる。


 気をつけなくちゃ。


●●●


 マルゲリータ様の杖が必要とかで、マルゲリータ様が亡くなったツークシュ山に調査に行きたいと、壮太君が言い出した。


 どうやらそこに杖があると睨んでいるらしい。


 つまり、壮太君と私の二人でのお、で、か、け♪ルン♪


 旅にはちょっと危険はつきものだけど、ずっとマルゲリータ邸にいたから、旅行みたいですごく嬉しい。


 旅行、じゃなくて冒険の前に、約束していたシーフードレストランに連れて行ってくれるとの事になった。


 旅行もできて、外食にも連れて行ってくれて、広樹ナナじゃなくてフローマーになって本当に幸せ。



 お母さん、猫にしてくれてありがとう!


 戦闘能力がすごくアップしたし、かわいがってもらえるし、猫って最高♪



 「にゃ、にゃー。(あれ?道が?)」


 町に入ると、シーフードレストランとは違う方向の道に壮太君が歩き出した。


 「いいからいいから、僕の後についてきてくれよ。」



 到着したのは鍛冶屋だった。


 壮太君は賢者だから武器は不要なはずなのに、なんでだろう。



「さぁ、フローマー、このロングソードどう思う?」


「んにゃー?」


 どいう事だろう、ロングソード、どう思う?


「まったく、君は鈍いな。君へのプレゼントだよ。


 いつも僕にご飯を作ってまっててくれるじゃないか。


 テーグリヒスペック城で働き始めて、給料が出たからね。


 初給料でプレゼント。」



 ええ!


 私にプレゼント!


 エルフの女の子達とすごく仲良くしてから、やきもち妬いたりもしたけど、こんな素敵な事をしてくれるなんて…。


 私が聖なる剣を持ってるのに使わないでいるのを気にしてくれてたんだ。

 

 これで、闇属性以外のモンスターとも剣で戦える。


 これでずっと楽になる…。


 しかも、女の子の間で人気のお花オステオスペルマムの模様がついた剣。


 すごくキレイ…。


 猫なのに、思わず感動で涙が出てしまった。


「おいおい!どういう事だよ!なんで泣くんだよ!」


 壮太君はびっくりしていたが、感動の涙ってすぐわかったみたいで、照れくさそうにしていた。



 ありがとう壮太君。


 大事に使うね。


 そして、旅行じゃなくて冒険ではあなたの事を絶対守るからね!

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