第145話 14.人生2度目の生贄…!?

 村長の尋問に、まともに答えれず、私は怪しい人物100%になってしまった。


 案の定、檻に閉じこめられてしまった…。


 前回、ここに閉じ込められた時は、ダークムーンの日で本当に真っ暗で怖かった…。


 そしてその日の夜、生贄になったんだった…。



 今日は普通に月が3つ出てる。


 でも、形的に数日後にダークムーンの日がやってくるのが分かる。


 今日はまだ月明りで周りが見えるから、生贄になった時ほど怖くはないけど…。


 私これからどうなっちゃうんだろう。


 夜も更けてきて、いつもだったら寝る時間だけど、とても寝れる気がしない…。


●●●


「人間さん、人間さん、どうか起きてください。」


 真夜中、誰かに声をかけられて、浅い眠りから目が覚めた。


 お母さんだ!


「今日、村長たちの話し合いで、あなたを生贄にして儀式をする事が決まりました。」


 人生2度目の生贄!!!


 そ、そんな!


「どうか、どうか逃げてください。


 もう、ナターシャのような子が生贄にされるのは耐えられないのです。」


 お母さんは檻のカギを開けた。


「ありがとうございます。でも村の外にはレベルの高い闇属性のモンスターがいて、夜は逃げられません…。」


「人間さん、ごめんなさいね。魔術をかけさせてもらいます。」


 お母さんは呪文をかけ始めたが、すごく長い。


 こんなに複雑で長い呪文を唱えられるなんて、さすがヴァルプルギス村のエルフ…。


 すると、私の体全体が光り始め、燃え始めた?!


 体が熱い!!!!!


 か、体が焼けるように熱い!!!!


 ど、どういう事?


 お、お母さん…!

 


 モフモフな物がが体から生え始めた…。

 体全体に広がる!


 手は肉球に、耳は大きな三角に、顔にはマズルがあって、牙も…?!


 私、猫になってしまった?!

 

 体の大きさはそのままなので、人間サイズの猫!?


「猫族は闇属性のモンスターにとても強いの。


 聖なる剣をもって、逃げて…。」


 お母さんは私に剣を渡すと、その場に倒れてしまった。


 魔力切れだ。


「誰だ!そこにいるのは!」


 見回りだ!


「ニャー!(お母さん!)」


「私は大丈夫だから…。逃げて…。」


 見回りのエルフが叫んだ。


「人間が檻から出てるぞ!!!!!」


 すかさず、隣にいたエルフが金縛りの呪文を唱え始めた。


「天より神の裁きを、雷気を汝の体に帯電させ、全ての感覚を麻痺させよ。」


 この魔法が当たったら終わりだ。

 生贄にされてしまう!


 お母さん、ごめんね、どうか、どうか無事でいてね…。


 私は逃げた。


 後ろで何人かのエルフが金縛りの呪文を唱え、雷の精霊が飛んでくる。


 何とか全てをかわして、村の裏門に出た。


 猫になったせいか、走るのは人間の時よりも、ずっと身軽だった。



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