第57話 解呪の薬〜呪いを解く薬をもらったけど、現実世界では?〜


 いつも通りアパートのお布団の上に戻ってきた。


 いつもと違うのは、ベルギウスが作ってくれた解呪の薬を、しっかり握っているところ。


 体がだるくて、重くて、そのまま目をつぶれば、そのまま異世界に戻れそうな気がした。



 薬をのまなきゃ…。


 台所に行って水をくんで薬を飲むなんて、そんな力は残って居なかった。


 私は身体中の力と、勇気を振りしぼって薬をそのまま自分の口に運んだ。


 ただそれだけなのに、疲労感がすごく、そのまま寝てしまった。



 どれくらい寝たかわからないが、また自分のアパートの部屋で目が覚めた。


 寝たけど異世界には行けなかった。


 ベルギウスの薬のおかげなのか、妙にスッキリしてる。



 これなら、少し動けそう。



 そういえば、何回も続けてお香を使ったから、何日もお風呂に入らず寝続けていた…。


 私って汚い…、そう思って洗面所に行き、鏡をみた。


 やっぱり私って、ブスだと思う。


 ティファニーはあんなに美人だったのに。



 異世界で鈴木さんは、私にプロポーズしてくれた。


 現実世界で結婚しようって。



 でも、今の私のこの姿を見たら、気が変わってしまうかもしれない…。



 会社は、もう何日も無断欠席していた。


 会社に迷惑をかけすぎた。もう、今の会社にはいれない…。


 村田課長に電話して、体調を理由に、会社を辞めたいと伝えた。



 村田課長は、最後に挨拶だけでもおいでと言ってくれたので、お世話になった人もたくさんいるし、最後だけはちゃんとしようと思い、退職の挨拶だけしに出社することにした。

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