第43話 最悪の誕生日〜別れようってラインで言うなんて、ひどいよ…〜

 現実世界に帰ってきた。


 もう戻ってこなくてもいいのに。


 最近、目が覚めてはすぐにお香を使っている。


 早く異世界に戻りたい。



 一応日時を確認して、会社に休みの連絡を入れたりはしている。



 カレンダーを見ると、今日は私の誕生日だった。


 風祭くんと2人で楽しく過ごせたらと思っていたのに、無理だろうな…。



 携帯をみると、ラインが入ってる。風祭くんからだ!


「誕生日おめでとう」


「誕生日にこんな事言うのもなんだけど、俺、小鳥遊さんと一緒にいても話すことないし、つまらないんだよね。」


「だから別れたいんだ。他に気になる女の子もいるし。」


 私は慌てて電話した。何度もしたけど出てくれなかった。


 メールもラインも送ったけど、返事はなかった。


 会社に出勤して、社内メールを送ったけど、返事はなかった。


 後ろの席なのに、ものすごく彼が遠くに感じる。



 ただ、ごめんってちゃんと顔見て謝りたかっただけなのに。



 会社の帰りに捕まえて話をしようとしたのだけど、


「もう小鳥遊たかなしさんとは話したくないんだよね。話しかけないでくれる?」


 取り合ってもくれなかった。




 あの日一緒にいた女の人の方が好きになってしまったの?


 私が美人でないから…



 誕生日は、彼氏と一緒に過ごして、指輪とまでは言わないから、アクセサリーをもらうのが、ずっと昔からの夢だった。


 なのに、こんな…



 もう、現実世界に帰ってこなくていい。


 私はお香を焚いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る