第26話 アルゲンのダンジョン


 ベルギウスと二人でダンジョンを歩きモンスターを倒していると、初めてこの異世界に来た時の事を思い出す。


 お金がなかったから、下着とあまり変わらない服装で一生懸命剣を振るい、剣術のレベルを上げたのが懐かしい。


 あの頃、倒すのに苦労したモンスターも、今となってはほとんど一撃で倒せるようになっていた。


 ダンジョンに入りしばらくすると、ベルギウスはアルゲンの藻を見つけ、マルゲリータ邸へ帰ることにした。


「ところで、その藻を使ってどんな薬を作るんだ?」


「実は、ティファニーのためになんです。」


 ベルギウスの話によると、俺がこの異世界を去ってから、ティファニーは相当泣いていたそうだ。


 しばらく泣いた後、せっかくレオンハルトにきたのだから、レオンハルトの植物を研究してから帰りたいと言いだし、このマルゲリータ邸に留まったとの事だった。


「さっきは部屋の中に逃げ込んでしまいましたが、僕が思うにシルヴィオ様の事を待っていたんだと思います。


 あとでちゃんと話して上げて下さいね。


 おそらくですけど、ティファニーもここには、もう来れなくなると思うので…」


「マルゲリータ邸へ来れなくなる?何かコルネリアであったのか?」


「いえ、コルネリアはいたって平和なのですが…僕がティファニーと暮らすうちにわかったことがあります…。。。


 ティファニーも、その…、現実世界から来ているんです。」


 そして、現実世界のティファニーもお香の使いすぎで、体をかなり壊しているとの事。


 ベルギウスはマルゲリータが残した魔術書を必死に探し、現実世界のティファニーに飲ませる薬の調合方法を見つけたとの事だった。


 その薬にアルゲンの藻が必要だったのだ。


「この薬を飲むと、現実世界では元どおりの元気な体になります。


 ただ副作用があり、異世界には戻って来れなくなってしまうんです。


 ティファニーはこの異世界で暮らすと言い張って、この薬は絶対に飲まないと言うんです。


 シルヴィオ様、説得してもらえませんか。」



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