応援コメント

最終話 口が裂けてもいえないこと」への応援コメント

  • 勇二君は残念ですが、しかし、契約を交わした以上はこうなる事は分かっていたとも言えますね。

    ハナコにとっては、誰に見られる事もない時にこそ、契約を遂行したかったのではないかと思います。

    華子の事件は、小さな勘違いや行き違い、思い違いが積み重なり、自己保身が悪意へと発展する様は、怪人を見るよりも恐ろしい物がありました。

    赤マントと七恵も、共に異形の存在となり果て、自由を謳歌していながら、それでも何かに縛られているのは滑稽ですらあり、憐みすら覚えます。

    そして、既視感を覚えていた高子でしたが、ああ、彼の者かと合点いたしました。確かに昔から畏れられていた(と言う事になっている)彼女ならば、一柱と呼ばれても可笑しな物ではなく、その見下ろす様は似合いだと思います。

    幼い華子が生きながらえ、兄の縁を探してごみ捨て場に迷い込んでも、ハナコが助けてくれる。その関係性だけが救いとも言えますが、それ以上に。ハナコは華子が迷い込むたびに、口に出来ない思いを抱いた青年を思い返すのだと感じられる事が読者にとっては救いであるように思いました。

    1話の黄昏時からは想像もできないほろ苦い怪談でありました。

    作者からの返信

    まことにここまで読んで頂け、本当にありがとうございます。
    感想まで頂戴できたのは想定外の幸運でした。

    勇二の終わりは最初から決まっていていまして、ハナコが自決でもしない限りそのままですが、赤マントが関わらなかった場合、実は生き残っていた可能性もあったりします。

    華子の不幸の怖ろしさは、ハナコ達が起こすような浮世離れしたものではない、普遍的な感情のドミノ倒しの結果という有り得そうな事態であることから来ているかもしれませんね。触れ合える分だけ人間の方が怖い場合もあるのでしょうか。

    赤マントと七恵は、常から吹っ切れてしまって変貌しているのですが、それは糸の切れた凧と同じなのですね。彼らはもう、落ち着くことも自ら戻ることも出来ない孤独をずっと味わうことになります。だから、触れたがる引きずり込みたがるのですね。道化が哀れっぽいのは自然かもしれませんが。

    観る者によってコロコロ衣装が変わっている高子さんですが、お察しの通りに少し前に話題になったあの怪談が元になっています。ただちょっと、拡大解釈させ過ぎたかもしれませんね。

    契約を遂行する度にハナコは常に胸は傷んで、そして華子は都度永らえる。人型故に情があるのは誰にとっての不幸だったのでしょうか。落ち着くところに落ち込んでしまったお話ですが、救いが残ったと感じてくださったのは良かったです。

    普通と不通をテーマにした作品、怪談としては真っ当でなくとも話に少しでも胸に残るものがあったら……と思いながら書いていました。
    苦味が悪くないと思って頂けたなら、至福です。