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当たり前のようにジャケットの胸ポケットから出て来たのは箱に入ったトランプ。新品の様だ。
「親は僕でいいかな」
「お客様にしていただくのは」
「いやいや、こっちの方が好きなんだ。やらせてよ」
その顔はもうすでに勝負師顔で。俺だってポーカーフェイスには定評ありますから。
いざ、勝負。
「おや、ステイでいいのかい?」
「このままで」
「本当に良いのかい? 僕が出しているのはエースだよ?」
「お喋りなディーラーさんですね」
「花菱君はヒットが好きなタイプの勝負師だと思っていたけど?」
「揺さぶりは聞きませんよ?」
「勝負にブラフはつきものだろう?」
「石橋を叩いて渡るタイプですよ? 私は」
「はい、ブラックジャック」
「酷い人ですね」
「それも含めての面白さだろう?」
「もう一勝負」
「気が済むまでやろうじゃないか」
「今度は私が親をしましょうか」
「僕は強いよ?」
「知っていますとも。だからこそ、面白いんでしょう?」
「その姿だと良く似合うね。格好いいよ」
「それでもいいカードは渡しませんよ。勝負は真剣だから面白いんです」
「同感だよ」
イカサマなんか興醒めだ。真剣だから面白いし、楽しいのだ。
さぁ、次のカードは何が来る?
「花菱君最高だよ」
「どうもありがとうございます」
そのあと何回ゲームをしたか覚えてないけど、結構いい勝負だったと思うんだよなぁ。なんて。ポーカーフェイスで答えますとも。
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