第3話 【理解】

体育館に向かう。

震える足をなんとか踏ん張らせ

入口から入り、数名の先生と生徒会長らしき人に大声で

自己紹介をしようとした。


前を向くと、その数名の先生達は

俺を見てめちゃくちゃ驚いている。


「ど、どうしたんですか…先生方?」


「君の後ろに…龍が…ッ!」


「は、はぁ?冗談やめてくださいよ。俺の緊張をほぐしてくださってるんですか?」


「冗談じゃない!嘘じゃない!!」

「君は見えていないのかッッ!?」


後ろを向く。龍はいない。そもそも誰もいない。


「龍なんていないじゃないですか」

「いるんだよッ!本当に見えていないのかッ!?」


「はい」


「「ッッッ!!!!!」」


俺がその龍の存在が見えないってだけで驚くのか?


「「生徒会長_______不知火君ッ!」」

「_______はい。どう致しましたか。」


「「可視化する魔法をッ!」」

「承知しました。」


と言うと冷酷そうだった不知火さんは、目を瞑り両手の指を合わせ、バッと目を開ける。


_______と、俺の後ろに本当に龍が出てきた。


「まさか………これが…俺の魔法?」


その瞬間、

さっき他の奴らが俺を避けていたこと、コソコソと話をしていたこと、先生方が驚いていたこと、昔から人から軽蔑されていたことの原因が_______やっと分かった。


"この龍"がいたからだ。



俺は魔法を持っていないと思っていた。

でも違った。それは他の人がこの龍の存在に気付いていて俺だけが見えていなかったからだ。




間違いなく_______この龍は俺の魔法なんだ!

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