第2話 【落胆】

「…どうしよう。俺、未だに自分の魔法分からねぇし、解放できてねぇんだけど………」


焦ってどうしたらいいのか分からず、他の人に尋ねようとしていたらいつの間にか周りの人達は俺と距離を置いてジロジロ見てきたりコソコソと俺に聞こえないように何かを話している。


…これだから学校は嫌いなんだ。

俺がまだ魔法が使えないから?

どうしてだ?

なんで俺を軽蔑するんだ?

そんな視線を送ってくるんだ?


昔_______嫌悪感でいっぱいになってもうダメだと諦めかけていた時に救ってくれたのは、俺の親友、基頼だった。


コイツは手からお菓子が出せる魔法が使える奴で、よく俺にお菓子をくれた。俺と一緒にいることが嫌ではないのかと思ったことがあったが基頼の笑顔を見るとそんな不安な気持ちも消える。


「ザザッ」

まただ。

「魔法テストのルールは簡単です。まず、名前を呼ぶので呼ばれた方から1人ずつ面接会場の体育館に行っていただき数名の先生にアピールポイントを見せてください。補足ですが、体育館には敵役の人形を設置しています。攻撃系の魔法をお使いの人はそれを有利に活用すると良いでしょう。ちなみに、不合格だった人は脱落します。よって魔法学校を退学していただきます。これでご報告を終わります。」


放送の声が止んだと同時に一気に他の人達の怒号が響き渡る。


「それでは、基頼 紳さん。

面接会場の体育館へどうぞ。」


基頼が緊張しているのか少しぎこちなく体育館へ歩いて向かっている。


大丈夫なのかな…と思いながらも、

その背中に俺は期待していた。



しばらくして、体育館から出てきた基頼は泣きそうな顔だった。


「ザザッ」

「基頼 紳さんは脱落しました。」


基頼が_______!?



声をかけようとした俺に基頼は震える手で肩を掴んで、

「俺の魔法はここじゃ何の役にもたてなくて無価値なんだってよ…。やっぱ俺ってばダメな奴だなぁ…本当。」と言ってから、

最後に「お前はきっと誰よりも強いさ。 それは俺が保証する。

だから頑張ってくれ。」と言い、

この魔法学園を出ていった。



それからというものの、不合格で脱落した人、合格して喜んでいる人がいたものの俺は相変わらず続く不安と基頼の分も頑張らなくてはいけないというプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。



「それでは、瓶野 玲さん。

面接会場の体育館へどうぞ。」


_______いよいよ、俺の番だ。

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