魔女に案内され小屋に入った少年は部屋の物を色々と見ていきました。きっと変な薬品を作っている途中の物や、カエルのスープがあるに違いない。少年はそう思って少しドキドキしていました。しかし実際にそこにあったのは、小瓶に詰められたら可愛らしいキャンディや、美味しそうなオニオンスープなどで、どこにも残酷なものはないのです。少年は本当にこの女が魔女なのかが不安になってきました。

そこで少年は直接確認することにしました。


「ところですみません。あなたが村で有名な魔女なのですか?」


しかし返ってきたのは


「そんなわけないじゃないですか」


という納得のいかない答えでした。少年はしかし本当に叶えたいことがあったものですから、もう一度魔女に話しかけました。


「助けてほしいのです。僕の願いを聞いてもらえますか?」


「私にできることでしたら力になりましょう」


少年はその言葉を聞き、ゆっくりと頷きました。そして、


「僕と入れ替わってください。」


そう言ったのです。


「入れ替わる、とはどういうことでしょうか?」


「僕とあなたの中身を交換してほしいのです。身体の交換と捉えていただいても構いません。どうですか?」


それを聞いた魔女は戸惑いをかくせません。そしてもう一度少年に尋ねました。


「交換などできるものではありません。第一に方法がない。残念ですが…」


そう言いかけた魔女に少年は言ったのです。


「あなたは魔女なのだからできますよ。」

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