十三話 新たなパーティーメンバー
デビルズラビットの駆除クエストを終えて、俺達はクレアシオンの街に帰ってきた。
デビルズラビットに関しては割と高く売ることが出来るらしく、駆除した二匹のデビルズラビットを持ち帰ってきていた。
俺達はそのまま冒険者ギルドに行き、クエスト達成の報告をしにいった。
「デビルズラビットの駆除クエスト完了しました」
アリスが受付に行って手続き済ませた。
冒険者ギルドに戻ってはじめて気付いたが、まだ陽は高く昇っている。
もう一個クエストをこなせそうな時間帯だ。
というか俺がもっとクエストをやりたい気分だ。
「なあアリス、もう一個クエストやらないか?」
手続きを済ませ、こちらに戻ってきたアリスに提案した。
「言われなくてもそのつもりだったわよ」
アリスがいつもの調子で言う。
「え? そうだったの? じゃあ話が早い。早速申請しに行こうぜ」
「じゃあそうしましょうか」
二つ返事で会話を済ませ、受付へ向かうために再び歩みを進めようとしたとき、
「あ、あの!!」
後ろから声をかけられた。
「ん?」
とても可愛らしい声。
まだ少し幼げでたどたどしく、庇護欲をかき立てられるような声だった。
誰か分からないが、こんな俺達に声をかける理由なんてあるのだろうか?
そんなことを思いつつ、声の主を確認するために後ろを振り返った。
「あの、いきなり声をかけてすみません! 一つお願いしたいことがあるのですが、少々お時間よろしいでしょうか?」
予想していたとおりの幼い容姿の少女がそこにいた。身長は150cmにいくかいかないかといったところだろうか。
俺が見下ろす形になっている。
布面積の若干少ない服を身につけていて、背中に弓と矢を装備していることから、アーチャーの類ということが予想できた。
「あのぉ、聞いていますか?」
少女についての考察に夢中になってしまい、返事が遅れてしまった。
少女が不安そうにこちらを見つめてくる。
アリスもかなりの美少女だと思うが、この子もかなり可愛いな。
アリスが大人っぽい可愛さなら、この子は子どもっぽい可愛さかな。
俺は決してロリコンではないが、こういう子も良いと思う。なんてったってこの小動物のような可愛さがなんとも「あの!! 聞いてますか!!」
やばい、また無視してしまった。
いよいよ泣きそうな顔をしてしまっている。
そこがまた可愛らしい……じゃなくて、早く返事をしないと。
「えっと、俺達に何か用かな?」
「やっと反応してくれた」
少女はホッと胸をなで下ろす仕草をした。
そして、こちらに向き直り口を開いた。
「お二人はパーティーを組んでいるんですよね?」
「まあ、そうだけど」
俺に話しかけているようだったので、俺が返答する。
少女はそのことを確認して、さらに言葉を紡いだ。
「もしよろしければ、私をお二人のパーティーに入れていただけませんか?」
勇気を振り絞ったような口調で少女は言った。
俺は突然の事で一瞬面をくらってしまった。
少女は俺にお願いをしたようだが、このパーティーは元々アリスのものだし、俺にはこの子を入れるかどうかの決定権はない。
やはりこの件はアリスに判断を仰ぐか。
俺はそう思いながらアリスの方を向いた。
「アリス、お前はどう思う……「本当に!?」
アリスは身を乗り出し気味にして、嬉しそうに少女に聞き返した。
しかし、急に叫ぶもんだからかなりびっくりしてしまった。
この子なんかびっくりしすぎて涙目になってるし。
「アリス落ち着け。この子が怖がってるだろ?」
「あぅ、ごめんなさい」
俺はとりあえず、興奮気味のアリスを落ち着かせ、少女に話が進められるようにイスに座って貰った。
「そう言えば自己紹介がまだだったね。俺はユウキカイト。ジョブはプリーストだよ」
俺が話を進める形となり、まず自己紹介から始める。
「私はアリス・バレンタイン。ジョブはパラディンをしているわ」
アリスが終わり、少女の番となる。
「私はソフィア・ガルシアと言います。ジョブはアーチャーをしています」
案の定アーチャーだった。
「オーケー、ソフィアって言うんだね」
「はい」
俺は名前を確認したところで本題に入った。
「君はなんでこのパーティーに入りたいの?」
「とても仲が良さそうに見えたからです」
ソフィアから出てきたのは意外な答えだった。
「俺達が仲良さそうに見えた?」
思わず聞き返してしまった。
「はい。常に一緒に行動してて、二人で会話している姿がとても仲が良さそうに見えました」
「でも、パーティーメンバーが一緒に行動するなんて当たり前の事なんじゃないのか?」
だからパーティーと言うんだろうし。
俺の率直な疑問に少女はこう答えた。
「同性で行動を共にするのはよくありますし、クエストの時には否が応でもグループで行動しなければなりません。でも、クエスト以外の時間も一緒にいるというのはかなり珍しいです」
なるほど、そういうものなのか。
確かにアリスと出会ってからは常に一緒にいるからな。端から見たら仲が良さそうに見えたのかもしれないな。
何はともあれ、ソフィアの気持ちはよく分かる。
メンバー同士の仲が良いパーティーに普通は入りたいよな。
俺はソフィアを拒む理由なんて無いし、アリスもさっきの調子だと喜んで受け入れそうだな。
まあ、一応聞いておくか。
「どうする? 俺はソフィアが入る事は全然平気だけど」
「もちろん私もカイトと同じ意見よ。拒む理由も見当たらないし、パーティーメンバーは多い方が良いわよね」
予想通りアリスはソフィアのことを快く受け入れた。
「よし、じゃあ決まりだな。これからよろしくな、ソフィア」
「これからよろしくね、ソフィア」
俺達二人が歓迎の言葉を言う。
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
ソフィアもとても元気な声で挨拶をした。
と言うわけで、パーティー結成二日目でパーティーメンバーは三人となった。
ヒーラーで何が悪い! 秋月 椛 @akituki_momiji
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