十話 悶々する就寝時間

夕飯を食べ終わった俺達は元の馬小屋の前にいた。


あらためて馬小屋に泊まると考えると少しどうかと思うところがある。

この世界に来る前に日本の生活に慣れているせいか、馬小屋で寝るというのに抵抗を感じてしまう。

いや、抵抗を感じるのは当たり前なのだろう。


しかし、少しずつでも慣れなければならない。

今後、こういうことは多々あるはずだ。

そのときのために最初の方で慣れておかなければ。


「何してるの? 早く入るわよ」


また考え事をしてしまったていた。


俺は急いでアリスについて行き、馬小屋の中に入った。


馬小屋の中は間仕切りで作られた個室が左右に五つずつあり、既に二、三匹の馬がいた。


俺達二人は一番奥の個室にお邪魔した。


アリスは腰にさした剣を下ろして、上に着ていた軽装の鎧のようなものを脱ぎ、肌着になった。


俺はワイシャツしか上は着ていなかったので、特に着替えはしなかった。



突然すぎるほど突然だが、ここで重大な問題が発生した。


その問題とはアリスの服装である。


アリスは今肌着で身体のラインがはっきりと分かってしまう。

さっきまでは軽装ではあるが鎧のようなものを着ていたため、意識するほどでもなかった。


だが今は肌着である。


アリスの女性らしい身体が丸分かりだ。


しかも、そのことを意識しまいとすればするほどに意識をしてしまい、どうにも悶々とするが、さすがに変な気を起こすわけにもいかない。


俺はこれ以上は耐えられなかったため、早めに寝ることにした。


「じゃあアリス、おやすみ」


「そうね、おやすみ」


えらく簡潔な挨拶をして俺達は寝ることにした。


掛け布団などは特になかったので、元からあった干し草をかけた。


いざ寝る体制に入ると、すぐに眠気が襲ってきた。

思えば今日はいろんなことがあった。

異世界に転移してモンスターに襲われ、アリスという美少女に出会い、プリーストとなった。


そんなことを考えているうちに俺はいつの間にか眠りについていた。

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