三話 この世界の知識を得る

アリスの案内でダンジョンを抜け出すことが出来た俺は、一番近い街に向かっているところだ。


そういえばこの世界についてまだ何も知らないな。

アリスにそれとなく聞いてみよう。


「なあアリス」


「何かしら?」


「この世界が今どんな状況なのか教えてくれないか? 今まで家からそんなに出たことがなかったから、よく知らないんだよ」


「そういえばあなたは貴族だったわね。でも、貴族なら相応の教育をうけているんじゃないの?」


そう来ますか。


「いやぁ、俺って次男なんだよ。だから兄よりはなんか勉強とかもおざなりでさ、困っちゃうんだよね。アハハッ」


ちょっと苦しいかな?


「ふーん、貴族も大変なのね」


良かった。信じてくれた。


「じゃあ、この世界について軽く説明するわね」


そう言うとアリスは立ち止まり、こちらに向き直ってこの世界の説明を始めた。


アリスの説明をざっくりとまとめるとこうだ。


・この世界には魔王がいてその魔王が人間の領域を侵している


・その魔王の侵攻を阻止するために冒険者が存在する


・冒険者にはジョブというものが与えられる


・人によってそれぞれのジョブの適正が違う


だそうだ。


まぁ、大方テンプレ設定だな。

ちなみにジョブについての適正だが、男性の方が攻撃系のジョブの適正が高く出やすく、女性の方が支援系のジョブの適正が高く出やすいらしい。


アリスのジョブはパラディン。攻撃系のジョブだから女性にとっては珍しいということになる。


俺はどんなジョブが適正なんだろうか。


さまざまな期待に胸を膨らませ、俺とアリスは街へ向かう。


ダンジョンの入り口を出発して三十分くらいたっただろうか、だんだんと街の外壁のようなものが見えてきた。モンスターの侵入を防ぐためであろう荘厳な造りとなっている。


こういうのをみると異世界に来たというのを思い知らされるな。


やばい、本当にワクワクしてきた。

どんなジョブになろうかな。

かっこよさを求めて騎士とか?

それとも魔法使いとか?


でも、攻撃系のジョブだったら良いかなぁ。


「ほら、着いたわよ」


おや、そうこうしてるうちに街に着いたみたいだ。


「ここが冒険者の街、クレアシオンよ」


「結構大きい街だな」


「そりゃそうよ、ハイリガー王国で三番目くらいに大きいもの」


「ハイリガー王国?」


「今私たちのいる場所よ。本当にあなた貴族? いくら何でも無知すぎない?」


「ああ、ハイリガー王国ね。ちょっとぼーっとしてたわ、ごめん」


「ならいいけど」


危なかった、本格的に疑われるところだった。

これからはもうちょっと考えて発言しないと。


「ほらどうしたの? 行くわよ」


「お、おう」


先に歩くアリスの後に続き、俺は冒険者の街クレアシオンに入っていった。

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