その手は憎悪に塗れて 参
キルト。「…やっちまった。」
殿があの洞窟から街へ帰りザキさんと蒼が熱にうなされてる頃、キルトは洞窟の中で頭を抱えていた
キルト。「あいつ俺の羽織りなんで持ってったんだ。」
そうあの時濡れないようにと勢いで殿へ被せた羽織りあれを取りに来たのだが
キルト。「何処にもねぇだとしたら、そうだよな…はぁ。」頭をポリポリとかいてため息を吐く
キルト。「俺が好きでやったんだからそのままここに置いとけばいものを。」
ブツブツと文句を言いながら洞窟をでて森へと向かおうとすると
ズシンズシンと地面が揺れるまるで何かが歩いてくるような
???「んぁ?なんだぁキルト。かこんな所で何やってんだ?」
キルトの身長を遥かに超える大男
2メートル以上はある、その男は腕は黒く熊のようでカソックを纏い黒手袋をしている
肩まで伸びた髪の毛はオールバックにしており赤茶色のきつい目付きで上からキルトを覗き込みながら話しかけてきた
キルト。「なにって探しものを少し。」
???「探し物だぁ?俺も探してやろうか?」
そう言いながらしゃがんだ
キルト。「あんたに探してもらって見つかったとしてもそのバカ力でぶっ壊れそうだからやめておくよ。」クスクスと笑う
???「なっ、お前バカにしてんだろ俺だって壊したくてやってんじゃねぇんだからよ。勘弁してくれ…。」
逞しく太い腕で顔を隠す
キルト。「そんなあんたは何してるの?ツキノヒ。」
ツキノヒと呼ばれた大男は聞かれたことに素直に答えた
ツキノヒ「何ってそりゃ決まってんだろ。腹が減ったから食いもん探しに来たんだよ。」
キルト。「鹿でも貪りにきたのか?」
ツキノヒ「そんな事しねぇよ!果物探しにきたんだよ。」
見た目がこんなにゴツイのに果物とくるかと
不意打ちをくらったキルト。がお腹を押さえながら地面に伏せた
ツキノヒ「…おい、真剣に答えたのにそんな笑う事ないだろうよ。」
キルト。「ご、ごめん果物か、そうかそうかそれならもう少し歩けばリンゴがなってるよ結構大ぶりで美味しいんだ行ってみるといい。」
そう言いながらがキルト指を指した
ツキノヒ「こりゃありがてぇんじゃまたな、探し物みつかるといいなぁ。」
手を振りながらキルトに指を指された方を1歩1歩ゆっくり歩いていく
やはり近くに居るとズシンズシンと身体に伝わってくる
キルト。「変わらず良い奴だな。さて俺はどうやってあれを取り返そうか…。」
空を見上げ風を感じながらキルトは考えながら歩く
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殿「あ、そういえばあの羽織りどうしよ。」
家で巴と2人の看病をしながら
思い出したように呟く殿もいた
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