その手は憎悪に塗れて 弍


巴「なんであんさんらが殿はんの家に転がり込んどるのじゃ。」

殿「い、いえこれにはとても深いわけがありまして…お2人はなんも悪くないんですよ。」

少し呆れた様子で熱にうなされるザキさんと蒼を見下ろしながら巴は言葉を吐く

殿「ザキさんと蒼さんはその、数日前に降った雨の日に私が傘もささず歩いてました。そこでお2人とばったり会ってびしょびしょの私をおぶり家まで運んでくれたのですが…。」

巴に話をしてると

殿がモジモジしだして

殿「そ、その家に着いた途端に私が玄関先で熱を出して倒れてしまいお恥ずかしいながらお2人に看病をしてもらってまして…。」

顔を真っ赤にしながら申し訳なさそうに言い出した

巴「ほほほ、殿はんも可愛げある所やるやないですの。ほいであんさんらが看病して殿はんが治った矢先に…?」

殿「お2人に風邪を移してしまいました…。」


ザキさん「ぼ、僕は看病した、んだぞ、ぜぇぜぇ。」

蒼「…さ、さむい。あ、、あつい。」

巴「こりゃダメじゃの。」

殿「私の看病の時は水かけたら治るか?!とか、ものすごい黒いお粥を作ったりとか色々と凄かったのですがお2人が懸命に看病してくれたので治りました帰っていいと言ったのですが。」


巴「まぁ今回は妾もおる、久しぶりに顔だしたらこんな事になってるとは思ってもなかったのじゃが看病してやろうかのぉ。2人を1人じゃ大変だろうからの。」

殿「す、すいません。」

殿は巴へ深々とお辞儀をする

ザキさん「し、しぬ。タバコくれ。」

蒼「これを機に…禁煙して、ザキさん。」

ザキさん「僕からタバコを無くしたら…死んでしまう、死んでも、吸う!」

蒼「死んだら…吸えない、よ。」バタリと蒼は布団に沈んでいった

続いてザキさんも力尽きたように布団へ沈む


巴「こりゃ当分死にまへんなぁ。流石あんさんらはしぶといのぉ。」

袖で口元を隠しながら巴は2人を見下ろしながら笑う


殿と巴は2人を看病するために

街へと買い物をするため家を出た


夕暮れがいつまでも見たくなるくらい綺麗で吸い込まれそうになる


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