あの日から刻は動かず 拾
人を愛すというのはとても鮮やかで
とても残酷である
時には力となり時には憎悪の源となる
真逆なモノを生み出すこの感情をどう受け取るかは貴方次第
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ザキさん「それにしても何でこんなに泥だらけなわけ?顔に擦り傷付いちゃってるじゃん。女の子の顔に傷つけちゃダメだよ~。」
結局蒼に火を付けて貰いタバコを咥えながらザキさんは殿へ尋ねる
蒼「タバコの臭いが女の子に付いちゃうのも配慮して我慢出来てたら100点だったよ。」
ザキさん「うぐっ。」
殿「…少し捜し物をしていてそれでその、妖山へ。」
蒼「え?!妖山なんて行ったの?!」
ザキさん「それこそ女の子が1人で行くべき所じゃないでしょ。そんなに大事なものだったの?」
頭の中で思い返す山の中であったことや洞窟の中であったこと
そして…どうしても思い出せない昔のようなそれ程昔でもないような大切な記憶
殿「はい、とても私には大事で大切で忘れてはいけないものでした。」
ザキさん「そりゃ良かったけど、もうこんな無茶しない事だね~僕と蒼だけじゃなくて柊と死神さんまで心配するから。」
殿「死神さん??」
しまったと言わんばかりに目を真ん丸くして冷や汗をダラダラとかきはじめた
スパーンと蒼に頭を叩かれるザキさん
蒼は一生懸命誤魔化しザキさんは大きな咳をわざとらしく連発する
蒼「ま、まぁとにかく!柊さん達が心配するよって事だよ!殿さん、ね?ザキさん。」
眉と口をヒクヒクさせながら蒼はザキさんへ合図を送る
ザキさん「そ、そうそう!ほらあの2人殿の事が大好きだからね!そんな大好きな殿が妖山へ行ってしてましてや怪我までしちゃったなんて知ってらとんでもない大騒ぎするよ~。」
蒼「最近、妖山にいる連中が活発に動いてるみたいだからね。実は僕達もそれに出くわしたんだ。」
殿「それって言うのは。」
ザキさん「妖山にいる奴らだよ。」
妖山にいるヤツら?キルト。のことではないのかしら…
殿は心の中で心配の2文字が浮かぶ
ザキさん「まぁ僕が追っ払ったけども!」
蒼「何全部僕のお陰だよドヤっみたいな顔してるのザキさん。」
ザキさん「頑張ったじゃないか僕!」
蒼「いつものザキさんよりは凄くかっこよかったと思うよ。」
ザキさん「どうしよう、蒼が素直に褒めてくれるから少し照れる。」
殿「きっと本当にそう思ってるんですよ。それで妖山の人達は…」
ザキさん「山へ帰ったよ2人共。」
殿「“2人”だったんですね。」
あの人じゃない良かった心のどこかでそう思う
蒼「でも、もう1人名前言ってたけどなんて言ってたっけ?」
ザキさん「いや覚えてないなんだっけな、えっと…カマキリ?」
蒼「…。」蒼が無言で構える
ザキさん「本当に申し訳ございませんでした、ふざけましたごめんなさい許してください今は殿をおぶってるのでやるなら街についてからにして欲しいです!」
殿「もう街も近いから歩けますよ少しくらい。」
ニコッとしてザキさんへ微笑む
ザキさん「あぁ、これが女神か。」
蒼「早く下ろしてあげなよザキさん。」
街はすぐそこ…見慣れた風景何も変わらない
変わったといえば多分私の気持ち
待っててキルト。また会いに行くから
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???「形の違う歯車が一緒に回り出した。噛み合わない歯車が同時に回る。さてどちらが先に壊れるかがみものだな。」
ここは奇形の獣人が集う世界
私達は真実をまだ知らずにひたすら歩く
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