今は亡き想い 玖


緋紅「ただいま戻りましたよ~っと。」

ドサッと床へ担いでいた袋を勢いよく置く

夜緋「キルト。姉さん今日の晩の材料になればいいと思って少し獲ってきた。」

床へ置かれた血が滲んだ袋を見てキルト。が眉にシワを寄せて問いかける

キルト。「…これ、本当に食えるのか?」

緋紅「当たり前だろ!さっき持ってきたばっかだぞ?!」

キルト。「いや、すまない余りにも袋が赤くて又いつものように遊んでから持ってきたのかと思ってな?」ニヤリとして緋紅の顔を見る

緋紅「ぐっ…。」夜緋「キルト。姉さんを騙そうなんて緋紅じゃ無理だよ一生。」

緋紅「今に見てろぜってぇ泣かしてやるからな。」

キルト。「なんで悪い事をしていないのにあんたに泣かされなきゃいけないのさ。」

緋紅「ムカツクからだ。」

夜緋「もうその時点で勝てないね。」クスクスと夜緋が笑う

キルト。も鼻でフッと笑っているが

口元は緩み口角が少し上へ上がっている

夜緋「そうだ緋紅からは晩の材料だったけど俺からは…キルト。姉さんにこれを渡そうと思って。」

そう言いながら夜緋の開いた手のひらから出てきたもの…

夜緋「キルト。姉さんいつも部屋にこれを飾って大事そうにしていたから好きなのかと思って。」

小さな手のひらに乗っていたのは小さな四つ葉のクローバー


『キルト。にこれあげる!』

聞こえてくるあの声でしっかりと

やはり俺はあの子と約束をしたんだ“ずっと一緒にいる”ってなのに…なのに

夜緋「…キルト。姉さん?」

キルト。の顔から床へポタポタと冷たい水が落ちる

緋紅「げっ、お前なんで泣いてんだよ。」

緋紅が驚いた様子で問いかけた

キルト。「ははっなんでだろうな、あんたらがいい子だからじゃないか?ありがとう夜緋、貰っておくよ。」

四つ葉のクローバーをそっと手に取り見つめる

あの子から貰ったものと大きさも同じくらいまるであの時のようだ

緋紅と夜緋は心配そうに顔を見てくるがそんな2人の頭をわしゃわしゃと撫で回して部屋へと戻り

元から押し花にして飾ってあったクローバーの隣へと貰ったクローバーを置いた


ずっと一緒と俺に言ってくれた

約束をあんたはしてくれたんだ

あの時本当に嬉しかったんだ

やっと、やっと思い出したよ

俺はあんたを…俺は殿を許さない




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