今は亡き想い 肆
地面は濡れ足場は悪く歩きずらい
殿「妖山ってこんなに険しいんだこんな所にあの人は住んでるのね。」
木にしがみつき歩く
足元が濡れてきて脚先が冷たい
殿「何処に居るんだろ1人で居るのかしら。」
そんな事を考えながらひたすら歩く
何処に居るかも分からなのに会えるかも分からないのに妖山という未知の場所を
殿「寒い…」
もう1度だけでいいから会いたい
大きな岩に脚を掛けたそのとき雨で脚が滑る
殿「しまっ!」
殿はグラッと体勢を崩してしまったもうダメなのか、な
瞳を閉じるやり遂げられなかった
また中途半端で…ガサガサッ!ガシッ
殿「え?キルト。…さん?」殿の身体がふわりと浮く
キルト。「あんた何でこんな所に居るわけ?」
殿の身体を支えていたのはスラッとした細い腕
だけれどどこか逞しくも感じるそして温かい
殿「あの、なんで。」
キルト。「何でって女が1人こんな山来てる方がよっぽどおかしいと思うけど。」
そう言いながら殿を下ろし着ていた羽織を殿へ被せる
キルト。「風邪ひく、あっちに洞窟あるから…この雨ずっと降るわけでもないし止むまで雨宿り。」
殿の手を引き指を指していた方向へ歩く
お互い手は冷たいが手を離さない
洞窟へ着くとそこは住めそうな道具などが揃っている
殿「ここに住んでるの?」
キルト。「違う偶にふらっと外へ出て1人で居たい時とかここに居る必要最低限のものしかない。」
慣れた手つきで火をおこす
キルト。の髪の毛は水で濡れていて毛先はポタポタと水が垂れている
殿「あの、ごめんなさい私のせいで貴方が濡れてしまって。」
キルト。「別にあんた見つける前にとっくに濡れてたし…。」
ゴシゴシと洞窟にあるタオルで髪の毛を拭いている
キルト。「脚見せて。」殿「脚?」
キルト。「そう脚、怪我してるだろ手当てする。」そういって答えを聞く前に殿の脚を持ち手当てを始める
寒い中慣れない道を歩いて擦れたりしている脚を優しく拭いて塗り薬を塗る
キルト。「乾くまで触るなそのままにしておけ。」
殿「…ありがとうございます。」
この人この前あんなに悲しい顔で私を見てきたのに今日は何だか…
降り続く雨はまだ止みそうにない
久しぶりに降る雨は温かく私達を濡らしていく
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