あの日から刻は動かず 肆
???「あ、お酒買い忘れた。」
妖山へと向かっていた足はまた街へと向かう
???「はぁまたあの街行かないとなんないのか。あんま長居したくない。」
さっさとお酒を買って帰ろうと思いながら酒屋を目指す
巴「あら、これはまた珍しい人が街におりますこと。」
???「日本酒をくれ。」指を指しながら言った
巴「そんなそそくさ選びなさらず妾と少し話はどうじゃ?」
???「早く帰りたいんだ。」お酒を受け取る
巴「ほんにこの街が嫌いなんやなぁ、あんさんは。」手を少し振り見送った
???「帰ろう…なんだか疲れたし頭が痛い。さっきの奴のせいだ。」
ガチャ 殿の家のドアが開く
殿「さて、買い物でも行こうかな。」
フッ…すれ違う2人すれ違うだけで良かったそれだけで良かったんだ
???「おい!」ガシッ
殿「ちょ、え?!」殿は身も知らぬ人に腕を掴まれる
殿「あ、あのなんです…」
???「あんた俺の名前、分かるか?」
殿「え?」殿は一瞬言ってる意味が理解できないむしろ今の状況が理解できていない
???「俺、俺はあんたの名前言えるよ。」
殿「…ごめんなさい、どちら、さまですか?」
ギュッとその人はお酒が入った袋を握る
???「何でもない。人違いかもしれない。すまないいきなり。じゃ…」
どうしてそんなに悲しい眼で私を見たの
どうしてあんなに憎しみが篭った力で私の腕をとったの
殿の頭の中がもはやオーバーヒートしそうになった
そして呟くその名前を
殿「キ……ルト。?」振り向くがもうあの人は居ない
キルト。「くそ、くそ!なんで覚えてないんだよ!」
強く握り締めた手からは
赤く温かい血が流れ落ちていて地面に垂れるとすぐ冷たくなり地に還った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます