あの日から刻は動かず 参


目の前から人が歩いてくる

その人は何だかぼーっとしていて…

その人の前を鶏が横切ろうとしているが気づいていない

柊「(あれ気づいてないな)」そう思った矢先

???「う、うわっ!」

やっと気づいたのか鶏をペシャンコにする寸前で脚が止まりその人は身体のバランスを崩す

言わんこっちゃないそう思い柊は地面を蹴りあっという間にその人の所へ

そしてバランスを崩した身体を受け止める

被っていた帽子が落ちその人の頭には小さな“獣の耳”がひょこっと出てきた

柊「あっぶな、大丈夫で…」ゴンッ

おでこに痛みがはしる、いきなりの出来事で訳がわからない

柊「いっ…つぅ~……」どうやら頭突きをされたらしい目の前がぐわんぐわんと揺れる

???「あれくらいアンタの手助けが必要な程、俺は鈍くない余計な事するな。」

地面に落ちた帽子を拾って汚れを叩き落としてからまた被り

その人は歩いていってしまった


柊「い、痛すぎる。まさか他人を助けたら頭突きされるなんて生きててあんま無いよね。」頭突きされ熱をもったおでこを擦りながら歩き始めた


???「なんなんだ、あいつ。身も知らない奴を助けるとか…それにしてもやり過ぎた俺まで痛い。」

羽織っていた和服に付いた柊の匂いに首を傾げる

???「俺、この匂い知ってる?」

その人は街で果物を買い妖山に向かう道へと歩いていった


柊「ただいま。」殿「あら、おかえりなさい。ってそのおでこどうしたんですか?」

柊「あぁこれ?なんて言ったらいいか…よそ見してたら壁とごっつんこした。」

殿「寝ながら歩いてたのかしら?」

柊「まぁそんなところ?」2人でおちゃらけた話をしているとイツキが奥から来た


イツキ「そろそろ帰るか、家に。」

殿から借りた本とお酒を持っている

柊「もう帰ろうか。」殿「久しぶりに楽しかったですよ、また来てくださいね貴方。」

柊「そりゃまた来るさ!」

イツキ「お邪魔した、また会おう。」

殿「イツキさんもお気をつけて。」


殿の家を後にする

街の入り口まで歩き牛達へバイバイと手を振る

イツキ「もういいだろう。」そう言うとイツキはいつもの大狼へと戻った

イツキ「荷物を持って乗れ。走るからしっかり掴まれよ?」

僕はイツキによじ登り荷物を落とさぬようにしっかり身体に括り付けイツキにしがみついた

柊「では、我が家へ。」


目指す場所は彼岸花は多い茂る

工場廃棄


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る