枯れればまた咲く 捌


やっぱり聴こえる

この森の奥?何処だろ、この森名前なんだっけ…

心地よいけど何処か寂しい

なんでだろう胸がぐっと押し付けられるような


そんな事思っていると

いつの間にか森の中の湖に出ていた

柊「此処こんなに綺麗な湖が…」

~♪~


???「眠れ~眠れ~母の胸に~、眠れ~眠れ母の手に~…あら、こんな所でまたお会いするとわ運命じゃの。」

歌の正体がこちらを向く

柊「え、巴さん?!何でこんなところに。」

巴「なんでと言われても、妾は静かで1人になれる場所を好む。此処は妾の落ち着ける場所なのじゃ。」

長い髪の毛を弄りながら話す

巴「あんさんこそこんな所へどうしはったん?」

柊「えっと、僕は歌が聴こえなんだか懐かしくて…それを追いかけて歩いて来たら巴さんがここに。それにしても凄く上手いね!聴き入っちゃった!」

巴が手で着物の袖で口を隠しながらクスッとわらう


巴「妾は人前では歌わないさかい、あんさん珍しいものをお聴きになれて幸運じゃの。もっと聴きたいか?」

僕の近くへ歩み寄る

柊「うん、もっと聴きたい!聴かせて?」

するとぶわっと巴の尻尾が柊を包み込む

暖かい何だか、とても、、眠くなる、ような、、

巴「妾の微かな記憶…いつの頃は思い出せぬが親子の歌だったのは覚えておる。」

柊「親子…」

尻尾に包まれてとても眠い

親子……母の手…お母さん…僕のお母さんって…誰……?

ザワッ森が突風で揺れる

それと同時に巴さんの尻尾は僕を解き放つ

巴「この歌の続きはまた今度、ね?」

森の奥の方へと歩き始める

柊「何処行くの?!」巴さんの背中へ叫ぶ


巴「だぁーれも居ないような、静かな所に行くのじゃよ。すぐまた会えるから心配は要らぬぞ~。」


忘れられた森の奥の方へ奥の方へと

歩いていき見えなくなった

僕は見えなくなるまで巴さんを見続けそしてあの歌が忘れられなくなった


今宵は新月

漆黒の一夜である


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