歴史探訪ウォーキング 3月号 (02)

10メートルほど先に石の階段が見えてきて、看板に『海蔵寺』とありました。

 ここは、幕府と西郷隆盛たちが内々で会議をした場所、なのだそうです。

 大河ドラマ『せごどん』でロケがあるかな? 歴史の脇道ぽいから、やらないかも。

もともとこの寺は、山の頂上に建てられていました。でもいまは山の中腹に建てられています。

 桜のつぼみが途中にあって、

「来月はここへ、花見に来よう」

 とガイドさん、ウキウキです。


 その寺には池があり、鯉も泳いでいますが、卵を産むとサギやカラスが食べちゃうらしいです。弱肉強食。


 そのままお墓に案内されました。

 浅野藩の次男の墓とか、北条氏直の墓とかありましたが、明治時代の「廢佛毀釋(はいぶつきしゃく)」により、思うようにお墓が建てられなくなってしまった、そうです。

 ちょっと判らないんですが、浅野藩主が亡くなったのは、明治時代より前ですよね……。

 なのに、なぜ、明治天皇の顔色をうかがわねばならなかったのか?!

 Wikiによると、明治より前にも、神仏分離運動というのがあったとありましたから、浅野の一族がその影響を受けたという説は、ありそうな気がしますけれどね。


 ドーム型のお墓を見たり、宇宙の五大元素 ―――地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)の字が書かれた塔型のお墓を見て、

『現代人にも判る字で書いてある!』と驚いたり、お墓ではいろいろ発見がありました。


 それが終わると、八幡宮へ行くことになっていたんですが、時間がなくなったためあきらめまして、次へと参ります。

 獅子の鏝絵(こてえ)ではなく、牛の鏝絵のついた倉をさして、ガイドさんが、

「下ばかり見ていると判らない。ちゃんと上も見ましょう」

 としたり顔でお説教。年始に足をくじいたわたしにしてみれば、

「足元を見ないと危険だよ!」

 てなもんです。ふーんだ。


 先へ先へと進んでいきます。

 幹が20センチぐらいはある大きな木には、縦に裂け目が走っていて、灰色の管が通っていました。

「ごらんなさい。あの木には、水道管がとおっています」

 ガイドさんは、それをさしてうれしそうに言いました。

 わたしたちが、

「どうやって入れたんだろう」

「だれが使うんだろう」

「そもそも、水道料金をどうやってはかるのかしら」

と相談していると、ガイドさん、大声で、

「実はこれ、ヤドリギなんです!」

 つまり、裂け目のなかの灰色の管は、水道管ではなく、寄生している木の幹だったってわけ。

 担がれてがっくり、のわたしたち。得意満面のガイドさんは、

「これ、子どもガイドにさせるとウケるんですよねー。ご両親とかおじーさんおばーさん相手に、この話をする。お父さんは写真を撮るのに夢中だったりする。見ていて楽しいですよ」

 そういう問題?


 まあ、冗談が出てくるほどリラックスしているんだから、わたしたちも少し肩の力をぬいて歩きます。

 歩くスピードがゆっくりで、いったいいつ、このウォーキングが終わるのかとイライラしました。夫、心配してるだろうな。


 そのまま、そこを降りて酒屋さんへ。

 古い歴史のある酒屋で、厳島神社へ奉納するお酒を造っています。

 ちなみに「御神酒」は、神さまにささげたあとのお酒です。そのまえのお酒はあたりまえのお酒です。店へ来て「御神酒ください」と言われても困ります。


 その家の構えは、両側は百メートルはあるかもしれません。

 格子は、入口の両側で違っています(わざとそうしているのです)。

 屋根もだて二階(飾りの二階)がつけられており、天井には飾りの煙り出しもあります。

  暗い雰囲気でした。暮らすには、ちょっと覚悟がいるかも。

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