バレンタインデー

今日はバレンタインデーです。

チョコレートを、異性にプレゼントする日のはずですが、最近は 『ごほうびチョコ』 とかで、自分にチョコを買う女性が増えているそうです。

わたしが夫とつきあっていたときは、「チョコを作ってくれよ」 と言うので、板チョコを溶かして作ろうとして失敗。

焦がしまくったチョコをプレゼントして、がっかりさせたことがありました。

それでも愛想を尽かさなかったんだから、モノ好きな男だったのに違いない。


ところで、わたしが美容院に行ったとき、ハリーポッターの映画の話になりましてね。

「どこが好きだった?」

と聞くと、

「ホグワーツへ汽車に乗って行くときに、ロンと一緒にハリーが食べていた、あの蛙チョコがめっちゃおいしそうだった!」

と言っていました。

もちろん、ハリーはバレンタインデーに蛙チョコを食べたわけではなく、それまで親戚に虐待されて、チョコひとつ食べさせられなかったので、生まれて初めて食べるチョコの味に、すっかり魅了されてしまったわけなんです。

そういえば、わたしが子どもの頃、いちばんはじめに食べたチョコは、蛙チョコのような『チロルチョコ』 でした。

駄菓子屋で買える値段で、板チョコみたいに開けたら最後、まる1個、ぜったい食べなきゃならないわけじゃないので、気軽に食べられました。

チロルチョコの味は、幼いわたしにはぜいたくな味でした。

なにしろ、小分けにしたチョコが存在しなかった時代でしたから、おいしいとは思えない板チョコを食べるよりは、ずっとよかったんですよね。

わたしは親から虐待はされてませんでしたが、いつもガミガミ言われていて、うんざりしていたのも事実でした。

チロルチョコは、親の目を盗んで食べてましたが、そのときだけは解放された気分になったものです。


 なんだか話がずれてきた。

 バレンタインデー。わたしにとっては、夫がはじめての彼氏だったので、もっと大切に扱うべきだったとは思うのですが、その当時わたしの周りには、男がうようよつきまとっていて、乗り換えようと思えばいつでもだいじょうぶ、という状態でした。夫と結婚することは、想定外のことでした。彼は、みんなと同じように扱っていたので、特別に思ったこともありませんでした。

 バレンタインデーというと、なんの見返りも求めずに、ただひたすら、

「いちおう彼氏なんだからサ、外聞のいいようにしてくれよ」

 冗談めかして言ったことばを思い出します。

 今年は夫とつきあって三十年。

 なにかご馳走を用意した方がいいかしら?

 プレゼントをみつくろった方が、いいかしら?

 ほかのひとはどうしているのかは、わからないんです。子どものいない夫婦に知り合いがいないもので(汗)

 かつては友人の中に、子どものいない夫婦もいましたが、伴侶をなくしてしまって参考になる意見が聞けなくなりました。

 まあ、さほど気にしなくてもいいかな。

 わたしが気を遣ってあれこれやると、お金がかかるからやめてくれって言われそう。


 バレンタインデー、みなさんは、なにをなさいますか?

 外国では、お互いにプレゼントをやりとりするそうです。

 お花を妻に贈る夫。

 新しいネクタイを夫に贈る妻。

 なごやかな、暖かい光景が目に浮かぶようです。

 でも、うちは花より団子だから、やっぱり食事を奮発するか!

 今晩は、スーパーで買ったステーキにしよう!


 そうやって夫は太るのであった。

 イベントって、憎たらしい。

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