こちら、私立鶴詠学園生徒会。只今、TRPG中!(MGR編)
ムミョウ
エピソード0:イントロダクション
はじめまして。早速で済まないが、貴方は『TRPG』を御存知だろうか?
―ああ、言葉は不要か。何せ、わざわざ時間を割いてくれてまで「この記録」に目を通そうとしている方だ。情報収集にも力を入れてらっしゃるだろう。その中にきっと『SAN値直葬』の様なTRPG用語が一般化した物も混じっているのではなかろうか?
仮にそうでなくとも、安心して欲しい。「この記録」には私達が通う『私立鶴詠学園』の生徒会で行われた、初心者向け「セッション」の内容も含まれている。(流石に公式のセッションを「リプレイ」として書き起こされた作品に比すれば、かなり不親切だとは私達も認識しているが……)読む内に何となくでも、理解して頂けると思う。
「この記録」では主に『メタリックガーディアンRPG』(以後、『MGR』と呼称する)のセッションとそれに関わる私達のやり取りを収めている。『MGR』については公式サイトの確認が最善……とは言え、流石に丸投げは失礼なので簡単な説明をしておくと「古今、様々な規格の『巨大ロボット』達が集い、悪に立ち向かうRPG」と言えるだろうか。私達のやり取りについては……「そのセッションを行うに至った『理由』を説明する為」と思って頂きたい。
―少しばかり、話が冗長になってすまない。では、本題に入ろう。先述の通り、「この記録」には―
「ここでダイス振り直し特技を使って……出目が!出目が!」
「まぁ、よくある事だ。君のキャラならば……《バルドル》で判定の達成値を上げておくと良い筈だ」
「そうだ……その為に俺は《バルドル》を選んだんだ!だから!!」
「すまないが、その《バルドル》に《エーギル》。これで相殺だ」
「じょ、冗談じゃ……!?」
『MGR』のセッション内容や―
「私のキャラはファンタズム級のリンケージだ。そして……達也君のキャラへ仕えている、レムリア騎士にしてメイド長だ。(普段の中性的な声調から完全に『物静かな女性』の声調へ変えて)……御主人様。
「(素で)へっ!?……ああ、RP(ロールプレイ)ですよね。え~と(『頭が蕩ける』っていうのはこんな感じなんだろうな……本気で意識が持っていかれそうに)」
「(達也君の方を見つつ)……ほぅ。ならば、こちらは『彼がミスティック級のリンケージとしてレムリアに移り住むより前から幼馴染だった、敷島皇國軍人』とする。こちらのハンドアウトに『敷島皇國の人間である』旨の記載もある以上、問題は無かろう?(こちらも普段と違う『大人の女性』の声調へ変えて)あらら、すっかり遠い存在になっちゃって……お姉さん、悲しいわ~」
「(本気で動揺して)はいっ!?」
「お~い、RPがリアルを侵食してるぞ~?後、達也君は爆発しなさい」
「助け舟無しどころか、攻撃されてる!?」
……私達のやり取り。そして
「これだけ傷付いて尚、諦めないのかしら?」
「諦めないさ!彼女を……そして、君も救うまでは!!」
そう吠えたところで、機体の損傷が酷い事は火を見るよりも明らかだ。
各所から火花と悲鳴が上がり、一歩間違えれば動かしただけで爆散するだろう。
それでも、彼は信じる。自分が強化人間の実験体とされた日から共に生きてきた「半身」である……『ガーディアン』を。そのパイロットたる『リンケージ』として。
「頼む、ディストーテッド・キメラ。あと少しで良い……!彼女達を救う為の力を、俺に貸してくれ!!」
彼の叫びに応えるかの様……否。
彼の叫びに機体は応えた。
右腕の展開式ビームスマートガンが砲撃形態へ移行、蠍の尾が如き姿に変化する。
左腕の超振動クローも展開され、獅子の牙を模する形へ変化していく。
背部のOVLハウリングユニットに周囲のAL粒子はそれぞれ、獅子のたてがみや光の翼を連想させる形状へと変化した。
報告と共に上がる映像を通して何度も見た筈だった。それでも彼女は思わず、言葉を失ってしまう。
そこには「様々な思惑によって自らの運命を振り回され続け、その果てで生まれ落ちた『
―『機甲歴に生きる人々の世界』が存在する。
さぁ、心の準備は出来ただろうか?
出来たのなら……ようこそ『TRPGの世界』へ。
あなたの訪問を歓迎します。盛大に、ね。
こちら、私立鶴詠学園生徒会。只今、TRPG中!(MGR編) ムミョウ @unsung4989
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