ある意味ヒロインである
入学式は淡々と終わり、1年生は各自のクラスへと移った。俺は1年2組になった。1〜5組まであり、どうやら最後の5組は入試、偏差値共に高い奴が行くらしい。特進コースって奴だな。
と担任の先生らしき人物が教壇に上がってきた。
「こんにちは、新一年生の皆さん。私はこのクラスの担任になりました、武田優香たけだゆうかと言います。私の事は遠慮なく優香先生って呼んでね」
語尾にハート付きそう。茶髪のショートカットが似合う小顔、スラっとした足にハイヒール。わー、スポーツマン!って感じの人だ。いやスポーツウーマンか。
「おーなかなかの美人の先生だぞ、やった!」
近くの男子からは早くも喜びの声が。
「早速ですが、クラスの絆を深める為に1人ずつ自己紹介してもらいましょう!」
うわーメンドクセー…。そういうのって、変に目立たないように自己紹介しようとして声が上ずったり、痛い自己紹介しちゃったり、ラジバンダリ…。などと考えている内にいつの間にか俺の番号の前まで来ていた。
「えっ~と...僕の名前は南城慎なんじょうまことです…。部活はテニス部にに入ろうと思っています。よろしくお願いします」
前の男子はなんだか小柄で声もなんか高いような…、まぁいっか。
「慎君可愛い…!」
「腕も足も細ーい!」
「慎氏尊い…!」
なんか一部の女子が騒いでるぞ、あと最後の奴なんか女子オタクじゃねーか!
「はい、じゃあ次〜」
俺か…。
「あ、宇佐美うさみ隆たかしです。部活は…今のところ予定はないです。宜しくお願いします」
ふ〜……緊張したぁー!言う前は余裕かなと思ったけど結構緊張するな。俺がどんだけコミ症か伺えるぜ。
この後も自己紹介は続いていき、いつまにか終わっていた。ん?その間何をしてたかって?ボーっとするに決まってるだろ!女子なんかジロジロ見ると嫌われてしまうわ!
「やっぱり自己紹介は良いですね!先生は皆さんのことを少しでも知れて嬉しいです!皆さんも私に何か聞きたいことがあればぜひ!」
「はーい!先生に質問でーす!」
とヤンチャそうな男子が1人手を挙げた。
「何ですか?本田さん?」
おぉ先生、もう名前覚えやがった。
「先生は彼氏とかいるんですか?」
……デリカシーなさ過ぎだろ、木田。
先生はちょっと考えた(ふりっぽい)後に、
「私はまだ、男の人と関係は持った事はないですよ〜」
「「「おーー!」」」
野郎どもの騒ぎ声がクラスに響く。お、俺は入ってないぞ?
「…」
先生は、と言うなんか優しい笑みを浮かべてる…様に見えてなんだが計り知れない怒ってますよオーラが垂れ流れているのは触れない方が良かったりして?
「はいはい!先生にクエスチョン!クエスチョン!」
とまた1人勇敢な男子。
「何ですか?和島さん」
「先生の年齢はいくつですかー!」
「…」
「…」
「…」
長い沈黙の後に先生はニコッと笑い一言。
「和島さん、後で職員室に一緒に行きましょうね?」
アア、オワタ。流石の男子達でもこれには気づいたらしく、誰1人騒いでいない。
さっきまでテンションMAXだった和鳥も無言で席に座った。
と同時にLHR終了の鐘が鳴った。
「はーい!皆さんこれで今日の日程は終了でーす。明日も今日みたいな感じだからヨロシク〜!ではさようなら〜」
と手短に済ませた後、和鳥の席に行き、彼の二の腕を捕まえて立ち去って行った。怖い…。
入学した初日で担任女性教師の可愛さと怖さ、両面を知ってしまった和鳥であった…。
これはラブコメと言えるのか?! @Momenrider
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