第41話 フェス開始!ゲームの売れ行きと僕の人気?

 コミカルフェス当日朝、柊介とゆい、洋子は

会場に向かった。今回は参加する方なので

前に並んでいた行列の横を通る。

 会場の中に入り、自分達の場所を探した。


「あった、ここだ」

「ちゃんと荷物届いてるね」

「よかった」


 三人の場所は島中で、だいたい初めての人が

多く集まる場所になっていた。

 三人はベースに入り、準備する。ゲームソフトは

二種類と、そのゲームを少しだけ本にした

物と並べる。数は三百だ。男性向けと女性向け

それぞれ百五十ずつにした。最初から千とかの

数は売れるとは思えないので、売れ残っても

まだダメージが少ない数にしたのだ。


「こんなものかな」

「これからここで自分達のゲームを売るんだ!」

「そうね。ちょっと緊張する」

「確かに。今までは買うがメインだったんだからね!

それが売る側になると緊張はするね」

「柊介、これから私達はその売る側になる方

なんだから。これも勉強って思わないとね」

「そうだね。ここでの経験は絶対モノになると

思うから。よし、全力で頑張ろう」

「おう!」


 そうして時間になり、コミカルフェスが

始まった。外では行列とコスプレの

撮影などがあり、中では同人誌やゲーム、最近

では芸能人とも参加したりしてますます

人気になっているフェス。そして、それは

柊介のところも例外ではなかった。

 それは開始して十分もたたない時だった。


「あの、もしかして、咲夜さんのライブに

出てた人ですか?」

「え!?あ、ハイ」


 柊介は思わず答えてしまった。どうやら

咲夜のファンらしい。


「あの、これ、ゲームですよね?」

「ええ。シューティング系です。女性向けと

男性向けに分かれてます」

「面白そうですね。両方くれますか?」

「あ、ありがとうございます。えっと」

「お一つ五百円です」

「じゃぁ千円ですね」

「あ、ありがとうございます」

「あの、またライブ出るんですか?」

「そ、そうですね。自分はあくまで手伝い

みたい感じなので、呼ばれたら出ます」

「そうなんですか。またライブ行きますので

咲夜さんにお伝えください」

「ありがとうございます。ちゃんと伝えて

おきますね」


 そのファンの子は帰って行った。そして

それが初めてのお客だった。


「やっぱ、柊介って人気者になってるんだね」

「どうだろう。ライブでも結局は裏方

だからね。本当に咲夜さんのファンの人じゃ

ないとわからないと思う」

「その、ファンの子が来たんだからうれしい

じゃない」

「そうだね。ゲームも売れたし。本当に

うれしいな」


 その感動はすぐに続いた。それから柊介達の

店には次々とお客がやってきた。

 どうやら柊介の事が広まっているらしい。今は

リアルタイムでネットにも情報が流れているので

こういう事はすぐに広まる。


 ようやく昼過ぎに落ち着いてきて、残りが

あと数十本にまでなっていた。

 そこに、香澄やめぐみ、さらに咲夜も

一緒にやってきた。


「やぁやってるね」

「奥井先輩!、咲夜さんにめぐみさんも」

「やっほー来たよ」

「柊介くんどう売れてる?」

「なんとか。もう少し残ってますけど」

「へぇけっこう売れてるじゃん」

「そうですね。あと咲夜のファンの子が

多くて」

「私の?」

「ええ。それで僕の事も知ってたみたいで」

「それで、それが今ネットで広まったみたで」

「なるほど。さすが人気物だな」

「いや、たまたまですよ」

「でも、ちゃんとあなたの事を見て覚えてくれる

人がいるのは事実よ。それは覚えておいてね」

「ハイ。わかってます」

「よろしい。じゃぁちょっとしたイベントでも

やりましょうか」

「イベント?」

「ええ。私が前に出て客を呼ぶわ」

「い、いいのかそれは?」

「大丈夫でしょ。ここはお祭りみたいな

ところなんだから」


 そうして香澄達も店の中に入り、咲夜は

帽子とサングラスを外した。

 そして、呼び込みをする。


「さぁサークル『クロス』のゲームはこちらで

販売してます。残りわずかだよ」


 その声に大勢の客が振り向く。そして。


「あれ、声優の咲夜さんだ」

「マジか!本物?」


 一気に集まる人。香澄達がその列を整理し

並べる。ゆいと柊介と洋子が売る。

 その行列ができて数分で全て完売した。

 しかし、行列はできたままで、咲夜が

買えなかった人達にも握手をしたりして

いた。その後、関係者が来て、行列は収まり

柊介達、特に咲夜は注意をされた。

 完売したので店を片付ける。その頃には

すでに夕方になっていた。


「こんな所だね」

「でもすごい行列でしたね」

「まぁこれも咲夜のおかげだけどね」

「ま、これが私の人気ね」

「でも、柊介のファンもいた」

「そうだな。浅倉くんもサインしてたしな」

「そうですね。あんな事初めてですよ」

「まぁこれからはそういう事も多くなる

からこれも勉強ね」

「ハイ」

「じゃぁ帰りましょうか」


 柊介達は荷物を持って、今度は大勢の人込みの

中に混ざり、駅まで行き、それぞれ帰宅した。

 コミカルフェスは三日行われる。柊介と

ゆい、洋子の三人は次の日は客として訪れた。

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