第37話 僕のライブと彼女の気持ち?
来週の休日に行うライブに向けて柊介は咲夜と
リハをしていた。
この日は午後からそのライブの会場に行き
そこで練習を行う。少しぎこちない柊介だが
どうにか終え、夕方咲夜と一緒に食事に行こうと
近くのファミレスに向かったが、そこで偶然
神崎と出会ってしまった。
「浅倉くんじゃん。こんな所にいるなんてね」
「!?か、神崎さんこそどうしてここに」
「私はよくここで遊んでるよ。色々店があるしね!
それより、そっちの彼女は?もしかしてうわき?」
「ち、違います。この人は」
「初めまして。浅倉くんの友達で黒川咲夜です」
「咲夜さん?」
「咲夜?どっかで聞いた名前ね」
「ありがとう。知ってもらえてるだけでもうれしいわ!
これでも名前は知られてる方だと思ってるから」
「あ!この前話した声優の!へぇじゃぁやっぱり
浅倉くんライブやってたんだ」
「・・・」
「どうしたのだまりこんで。まぁいいわ。ねぇ
そのライブ、私も見に行っていいかな?」
「えっと」
「もしかしてチケット完売しちゃってる?」
「そうね。だいぶ前に発売しているからね!
でも、いいわよ。関係者の方でよかったら
見せてあげる」
「いいんですか?私の事知らないのに」
「一応知ってるわ。だから見に来てほしいの!
あなたは彼の暗い時に居たみたいだけど、誰でも
そういう時はあるわ。でも、彼は今それを
乗り越えて今の彼になってるの。だからそれを
見てもらいたいの。来てくれるわね?」
「ええ。ありがたく見に行かせてもらいます!
じゃぁ浅倉くんライブ楽しみにしてるね」
神崎は手を振って帰って行った。柊介達も
とりあえずファミレスに行き食事をした。
食べ終わって咲夜達は会社に戻るが柊介は
家に帰る事にした。
「大丈夫?浅倉くん」
「はい。すいません。僕がまだだらしないから
咲夜があんな風に」
「いいわよ。まぁちょっと大人げないかも
しれないけど、でも、今のあなたを知るには
ライブを見てもらうのもいいと思ったからね!
あとはキミ次第だぞ」
「!?はい。それじゃ」
咲夜は帰り際に柊介にキスをした。柊介も
とりあえず落ち込まずに帰った。
そうしてライブの前日になった。会場で
最後のリハを終え、家に帰る。そこにゆいを
呼んで、明日の事を話す。
「そう、彼女を誘ったんだ咲夜さん」
「うん。だから今の僕を見せる為にも
頑張らないと」
「そうね。柊介ならできるわよ。じゃないと
私の恋人としても失格だからね」
「う、うん。頑張ります」
ゆいに励まされ、いよいよライブ当日の
朝になった。
本番は夕方からで、それまでは会場内で
色々準備をする。
控室、そこにゆい達を招待していた。
「浅倉くんその例の彼女はまだ来てないのか?」
「ええ、まだみたいですね」
「もしかして来るのやめたとか?」
「それはないだろう」
香澄、洋子、めぐみはまだ神崎と会った
事はなかったので、どういう子かは
わからなかった。
それから昼過ぎになるが神崎は来ない。
やっぱり来ないのかと思ってたが開演
一時間前になり、スッタフが神崎を
連れて来た。
「ごめんね。待たせた?」
「いや、大丈夫。まだ時間あるし」
「そう。よかった。あ、朝比奈先輩!
それと、そちらの方は?」
「初めまして。奥井香澄だ。私は彼の先輩で
卒業生だ」
「私は佐伯めぐみです。柊介くんとは同じ
バイトをしているの」
「楠洋子。柊介と去年同じクラスよ」
「へぇ、皆女の子か。モテるね浅倉くん。本当に
中学の時とは大違い。なんなら皆にも来て
もらって見せてあげよっかな」
神崎がスマホを取りだし、メールをしようと
した時、香澄がそれを止めた。
「キミ、そういうのはいただけないな。もし
彼をからかってるならすぐに帰ってもらう!
これは自分の知り合いだからとかではなく
そういう行為はよくないと思っている。それは
キミの為にもよくない事だよ」
「忠告ありがとうお姉さん。でも、こうでも
しないと楽しめないんだよね。私」
彼女の言葉に沈黙する一同。それを破ったのは
ゆいだった。
「じゃぁ別の楽しみ方を教えてあげる」
「なんですか?」
「柊介のライブを見なさい。それが楽しみに
なるわよ」
「へぇ。それは楽しみですね。じゃぁ浅倉くん
頑張って楽しませてね。ちょっとトイレに
行ってくるわ」
神崎は部屋を出た。まるで台風の後の
様に静かになる控室。
「本当にあんな子がいるんだな」
「やっぱり今どきって感じですね」
「私、あいつ嫌い」
「まぁいいとわ思わないわよね。でも、ちょっと
ひっかかるのよね」
「ひっかかる?あれにか?」
「ええ。まだわからないけど」
そんな感じで時間になり、柊介と咲夜は
スタンバイする。神崎も戻ってきてゆい
達は関係者側の方に向かった。
そして、満員の中、ライブが始まった。
この日は約二時間のライブで、柊介も
初めての長時間だった。
一曲目から盛り上がり、どんどん会場は
エキサイトする。
それを見ている神崎達は。
「どう、神崎さん。柊介の演奏わ」
「まぁ確かにすごいですね。あんなに暗かった
彼がこんな風になるなんて」
「そうね。私達が最初に会った時も彼は
暗かったわ。でも、今は違う。そこをしっかり
見てほしい」
「そうですね」
神崎は以外にも静かに柊介を見ていた。ゆいは
やっぱりそれに何かひっかかっていた。
そうしてライブは終了した。
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