第38話 やはり僕に気があった神崎!?

 ライブが終わり、控室に戻る咲夜と柊介。そこに

神崎の姿はなかった。


「帰った?」

「ええ。終わりぐらいにね。何も言わずに帰ったわ」

「本当に失礼な子だ」

「でも、ちょっとおかしかったね」

「私もそう思う。柊介、今度彼女と話して見るわ」

「ゆいさん」


 この日はこれで解散した。柊介は次の日もライブも

出て、その仕事は終了した。


 翌日、ゆいは言っていた通り、休み時間、神崎と

二人だけで話していた。


「なんですか先輩」

「ねぇもしかしてあなた、柊介の事気になるの?」

「!?どうですかね。まぁ今の彼には少し

興味はありますけど、でも、あの時を知ってる

からね。どうにも」

「それが好きになれない?いじめ、まではいって

ないかもしれないけど、そっち側だったから

今更素直に彼と話せないんじゃない?だから

ちょっかいだす事で話のきっかけに」

「うるさいですよ先輩!私、そこまで彼に

魅かれてませんから。仮にそうだとしても

あれじゃ私にはつりあいませんから」

「そう。じゃぁ私も安心ね。でも、一つ注意

しておくけど、彼になにかするなら私が、私達が

許さないからね。今の彼は一人じゃないから」

「そうですか。じゃぁ失礼します」


 神崎は戻った。ゆいも自分の教室に戻り、メールで

柊介に報告した。

 放課後、柊介は教室で神崎と残っていた。彼女に

話があると言われ、皆が帰ってから神崎が話

かけてきた。


「さてと、ねぇ今度出かけない」

「え?出かける?」

「そう。まぁデートって思ってもらってもいいわ」

「デート!?ダメです僕には」

「わかってるわよ。だから思ってて言ってるでしょ!

ただの遊びよ」

「どうしたんですか急に?やっぱりゆいさんに

何か言われたから」

「別にそうじゃないわ。あなたがどれだけ変わったか

見たいだけよ。今までも少し見たけど、それは

誰かと一緒だから強く見えただけかもしれないしね!

だから、私と二人でいる時にどうするか見たいの」

「二人だけの時って」

「ほら、そのおどおどする感じ。私はそれが

嫌いなのよ!あの時もずっとそうやって暗くして

目立たないくせにうっとしいさがあるのが」

「!?ごめん」

「謝るな!・・・まぁいいわ。それでどうするの?

「・・・わかりました。出かけましょう」

「いいわ。じゃぁ次の休日、駅前で待ち合わせね!

遅れたらそれでアウトよ」

「わかった」

「じゃぁ。あ!あと、先輩達に話したらダメ

だからね。本当に私と二人だけの遊びだから」


 神崎は教室を出た。柊介はすぐにゆいに話そうと

したが、神崎に言われた通り、黙っておく事にした。


 そうして休日、柊介はゆいには家の用事と言って

この日は一人でいると伝えただけで、それから

待ち合わせの場所に向かった。

 約束の時間の二十分前程に柊介は到着した。


「へぇずいぶん前に来たのね」

「神崎さん」


 すぐに神崎もやってきた。しかも、神崎はギャル風

ではあるが、かなりオシャレにしてきていた。

 

「さぁ行きましょうか。今日はあなたに任せるわ!」

「わ、わかった」


 柊介はとりあえず歩き出した。ここは秋葉では

ない。渋谷だ。今までなら絶対関係ない場所

だったが、ゆいと付き合ってからたまに来る事が

あった。そのさいに女の子が好きそうなところも

おしえてもらっていたので、その場所に神崎を

連れて行く事にした。

 色々な店を回り、本当にデートをしている

みたいだった。

 そうして、夕方になり少し離れたところの

公園で休憩する事にした。


「さて、今日のあなたの評価を教えるわ」

「評価」

「そう。まぁ半分の50点ってところね。正直

今日行ったところは私はもう行ってる場所だった

からね」

「・・・」

「それでも、あのあなたがそんなところ知ってるの

には驚いたわ。まぁ先輩に教えてもらったの

でしょうけど」

「じゃぁ不合格なんですね。僕はそれでかまいません」

「へぇ言うじゃない。まぁそれで合格したいって

言ったら浮気だしね。わかったわ。とりあえず

合格にしてあげる」

「いや、だからそれは」

「大丈夫。今のは別の合格だから。まぁでも

これからもあなたを困らせる事はやめないかもね!

その方が面白いし、それに」

「?」

「じゃぁ今日は帰るね。浅倉くん。少しだけど

楽しかったわ。これからもよろしくね」

「?」


 神崎は怒るどころか笑って手を振りながら

帰って行った。

 柊介はその事をゆいに話した。


「そう。まったくあの子もやっかいね。柊介

とりあえずもう大丈夫だと思うけど、別の

事を心配してね」

「別の事?」

「ええ。まぁすぐにわかると思うけど」

「?」


 その時はゆいが何を言ってるのかわからなかった

が、それがわかるのには時間はかからなかった。

 今まで以上に神崎が柊介に近づいてきて、ちょっかい

出すどころか、今まで香澄や洋子みたいな

感じで迫って来た。


「神崎さん、ダメです」

「いいじゃない。知らない仲じゃないんだし」


 放課後の教室に残された柊介は神崎に

迫られていた。そう、神崎は柊介に気を

もっていた。

 それを今、少しずつ見せていたのだ。でも

当然それを知っていたゆいが柊介をガードする。


「やっぱり、そういう事ね。神崎さん、柊介は

渡さないから」

「そうね。人の彼氏を奪い取るのもスリルが

あっていいかもね。ね、柊介くん」


 神崎は柊介の腕をつかんだ。当然、ゆいも

つかみ二人は柊介をとりあった。

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