第36話 僕は追い込まれる!?

「へぇキミの中学のクラスメイト。しかも、かなり

ちょっかいだすタイプか」

「ええ。中学の時は直接なにもなかったんですけど」

「間接的にはあった?」

「はい。たぶんですけど」

「それはやっかいね。でも、今のあなたなら何か

されても平気なんじゃない?」

「そうですね。僕もゆいさんがいるし、ちょっとの

事じゃおれないようにはしてるんですけど、やっぱり

中学の時の自分は一番嫌いな時でしたから」

「まぁすぐには立て直せないか。でも、だからって

黙って何かされないようにね。ゆいちゃんの為にも

それに、キミに何かあったら私達も悲しいからね」

「わかってます。僕も強くなりたいですから」

「よし、じゃぁリハを始めようか」

「ハイ」


 二人はスタジオに向かって、ライブのリハを

行った。もうすぐ咲夜のライブがありまた

柊介が演奏する事になった。

 そのせいもあってか柊介は少し有名になっていて

ネットでも、咲夜の話題を通してあの演奏者は

誰だ?的な感じで盛り上がっていた。


 そんな柊介は学園内でも有名人で、休み時間でも

クラスメイト以外でも話しかけてくるようになった。

 その休み時間、神崎が柊介に近寄ってきた。


「浅倉くん。ちょっと聞きたいんだけど?」

「な、何?この間の事?」

「それもあるけど、もしかして浅倉くんってさ

ライブに出てない?」

「ラ、ライブ?」

「そ!ネットでたまたま見つけたんだけど、この

咲夜って声優のライブでさ。画像に浅倉くん

らしい人がいるんだよ。このキーボード。やっぱ

本人なの?でも、浅倉くんって音楽できたっけ?」

「えっと、それは」

「他の皆は知ってるの?」

「えーっと、浅倉、教えていいのか?」

「そのセリフはそういう事なんだ。以外だね。キミが

こんなライブをしているなんて。あの時の

クラスメイトが知ったらどう」

「神崎さん!その事は言わないでください」

「どうして?ただの思い出話じゃん」

「それでもダメです。誰でも嫌な事は知られたく

ないですよね。ましてはそれが」

「それが、ひどい過去でも?」

「!?」

「まぁそうね。あ!ひどいっていってもテレビで

出るようないじめじゃないよ。まぁ本人的には

そうかもしれないけどね」

「・・・」

「あらっ!どこ行くの」

「ごめん。キミとは話したくない。伊藤くん。ちょっと

気分が悪いから帰るって次の先生に伝えててくれる?

井上先生には言っておくから」

「ああ。それはいいが、本当に大丈夫か?顔色も

悪いし」

「ごめん。じゃぁ」

「浅倉」


 柊介は教室を出た。その後、神崎は悪びれる事もなく

普通に自分の席に座る。他の生徒はその神崎を

少し悪い目で見るようになった。

 柊介は職員室に行き、井上先生に話す。


「そうか。あいつはそんな風には見えないけどな」

「それは表だけです。誰でも裏の顔はあります」

「確かにな。でも、それならお前も被害届けじゃ

ないが、そういう事をされたと、私達に報告

してもいいんだぞ。その為の教師だ」

「ありがとうございます。でも、あまり大事には

したくないので」

「そうだな。でも、あまり自分だけでなんとか

しようと思うなよ。誰かに助けてもらうのはけして

悪い事じゃない。それこそ、お前の先輩朝比奈にもな」

「ハイ。それじゃ」


 柊介は職員室を出た。その後メールでゆいに今日は

早退する事を返事した。

 

 バイト先にもめぐみにメールをし、休ませて

もらおう事にした。

 部屋に帰ると柊介はベッドに倒れこんだ。


「どうしてこんな事に。せっかく高校ではうまく

行くと思ったのに。悪い過去は消せないって

事なのかな」

 

 柊介は泣きそうになったが、なんとかこらえた。

 中学の時だったらとっくに泣いていて

もしかしたら自殺する勢いぐらいの出来事

だった。

 

 少しして泉が声をかけてきた。


「柊介、ゆいちゃん達が来たぞ」

「!?達?」


 ドアを開けるとそこにはゆいとめぐみが

居た。めぐみはメールを見て心配になり

やってきたようだ。そこでゆいと会った。

 泉が柊介の部屋に連れて行き、中に

入る二人。


「大丈夫柊介?」

「う、うん。なんとか」

「大丈夫そうには見えないわよ。目に涙が」

「ちょ、ちょっとね。でも、僕も男だし!

ゆいさんがいるんだから」

「柊介。強くいてくれるのはうれしいけど

つらかったら言いなさい。私は恋人だけど

先輩でもあるんだからね」

「ありがとうゆいさん」

「私でもよかったら相談に乗るからね。なんなら

それ以上の事も!」

「め、めぐみさん」

「こらっ!人の彼氏に抱きつかないでください」


 めぐみは柊介に抱きついた。それをほどこうと

するゆい。二人のおかげで柊介も気が

まぎれた。

 その後、めぐみは先に帰り、ゆいが残った。


「柊介、私から言おうか?」

「ううん。これは僕の事だから自分でなんとか

するよ。でも、どうしてもだめな時は

助けてほしい」

「当たり前よ。私はあんたの恋人なんだから!

あんたに何かする奴は許さないからね」

「ありがとうゆいさん」

「じゃぁ慰めにエッチしてあげる」


 ゆいは柊介を抱きしめた。そのゆいも帰った後

柊介はなんとか寝る事ができた。

 

 次の日はちょうど休日だったので柊介は

咲夜の所に向かった。

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