第35話 僕に迫って来る神崎彩香
やはりこれがラブコメか。柊介は心の中で思いながらも
どうしようかあせっていた。
神崎彩香が胸の谷間を見せているその時にゆいが
やってきた。
その空間だけが静寂に包まれる。それだけに柊介は
怖くて動けなかった。
「柊介、その子は誰?どういう関係かしら?」
「えっと、ゆいさん。これは」
「あなたこそだれ?今私達楽しんでるだけど」
「楽しんでる?」
「ち、違うから。何もしてないよゆいさん」
「まぁ確かに柊介が何かをしてたようには
見えないわね。むしろそっちのスケベそうな
子に押されてるって感じね」
「そうね。じゃぁこんなのほっといて他の
場所で楽しみましょうか柊介」
「!?名前で呼ぶ関係?」
「えっと、か、彼女はその、中学の時の
クラスメイトで転校してきた神崎彩香さんです」
「中学のクラスメイト?本当なの?」
「ええ本当よ。それでそっちは?」
「私は朝比奈ゆい。三年で柊介の恋人よ」
「!?恋人?あんたが?あの浅倉の?ははっ!
ウケる!本当に変わったわねあんた」
「・・・それは変わるよ。あんな暗黒時代の
自分なんて嫌だからね」
「へぇ自分でも嫌だったんだ。それでも中学の
間では治せなかったもんね。皆からも嫌われて
三年間ずっとぼっちのキモオタ」
「黙りなさい!!」
「おお怖!!何、彼氏がいじられて妬いてるとか?」
「あたりまでしょう。それに、あなたの様な
頭の悪い子は嫌いでね。さぁ柊介行くわよ」
「ゆいさん」
「やっぱり変わらないかな。先輩とはいえ、女の子に
助けられるなんてね浅倉くん」
「そ、それは」
「なんとでも言えばいいわ。それに、今の柊介は
あなたが思ってるような男じゃないから」
ゆいは柊介を連れていった。とりあえずゆいの
クラスの中に入る。
「あ、ゆい。何彼氏連れてきたの?」
「うらやましいな。恋人がいるなんて」
といつもなら笑って返せるが、今のゆいは
少し機嫌が悪かった。
「ごめん、ちょっと黙ってて」
「何?どうしたの?」
「喧嘩?」
周りが黙り始める。ゆいは自分の席に座り
その前に柊介は立っている。
「ゆいさん、ごめん」
「あなたが謝る事じゃないわ。まぁできれば
もっと言い返してほしかったけど。相手が
あなたの中学時代の知り合いじゃね」
「うん。まさかこんな所で会うなんて思っても
見なかったよ。しかも、すぐに僕だって彼女は
気づいたんだ。中学の時の僕は地味で全然
誰にも覚えてもらってなかったはずなのに」
「逆にそれで覚えてる事もあるかもね。それに
あれはその中心みたいに感じるわ。ねぇもしかして
あの子に何かされた?」
「う、ううん。直接的にはないけど」
「関節的にはあるのね。まぁそうじゃなくても
その時のあなたじゃ何もできないか」
「うん」
「でも、今はしっかりできるでしょ?私のその
恋人なんだから」
「わ、わかってる。もうおどおどしないよ」
「それでよし。じゃぁ戻っていいけどしっかり
してね。本当に何かあったら私に言って」
「ありがとうゆいさん」
二人が見つめ合うとチャイムがなった。柊介は
慌てて教室を出て戻った。
「ゆい、彼氏に何かあったの?」
「ちょっとね。でも、大丈夫よ。私は
信じてるから」
ゆいに言われ、柊介はいつも通りにと言い聞かせ
自分の教室に入った。
授業中も神崎は柊介を見ている。そうして
放課後、やはり神崎は柊介に声をかけた。
「ねぇ浅倉くん。どこか遊びに行かない?この
街の事も教えてほしいな」
「・・・ごめん。僕やる事あるから」
「彼女さんとエッチ?」
「!?ち、違うよ。バイト」
「バイト?へぇそれはそれは。じゃぁそこに
連れてってよ。どこの店?」
「今日は店の方じゃないから連れていけない」
「店の方じゃないって何?」
「ごめん。今はまだ教えれない。じゃぁ
行くね。また明日」
柊介は慌てて教室を出た。今日は咲夜の方
での仕事があるのでさすがにそこは神崎には
教えれなかった。
走って来たので柊介は受付の人に心配され
ロビーに椅子に座らせてもらった。
そこにちょうど咲夜がやってきた。
「どうしたの?そんなに息を切らして?」
「さ、咲夜さん。えっと」
柊介は息を整えてから神崎の事を咲夜に
話した。
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