第34話 僕の過去をしっている転校生がやってきて・・・

 柊介も二年になり、新しいクラスに変わって、さぞ

また暗く隅でゲームをやってるのかと思ったら

その逆で、このクラスでは柊介が中心になっていた。

 それも、柊介が朝比奈ゆいと付き合ってるという

事がばれてそれが広まった。

 でも、今の柊介ならと周りは納得していた。それも

去年のライブなどが影響していて、柊介は学園でも

有名になっていたのだ。


 そんな柊介も今では自身を持っていて、堂々と

していた。

 

 それはゆいと二人でいる時も一緒で部屋に

いる間はずっと寄り添ている。

 休日ではほぼ一日部屋にいる二人。それは

ゲームをしているのと、ゲームを作っている

からで、二人にはそれがデートでもあった。


「柊介、今日はこのくらいにしよ」

「そうだね。じゃぁ何か食べようか」


 二人はリビングに行き、料理を作り

一緒に食事をした。

 そのままお風呂に入る。当然二人一緒にだ。

 もう、柊介もおどおどする事なく、率先

してゆいを脱がす事もしていた。

 湯の中で抱き合う二人。すると、ゆいが

少し寂しげな感じになっていた。


「どうしたの?」

「うん。まだ早いんだけどね。来年私は

卒業するからさ。柊介と二人でいる

時間が減るなって」

「そうだね。でも、ずっとじゃないから。ゆいさんは

就職するんだよね。なら僕も同じところに入れば

いいんだし」

「そうね。それでそこから二人の会社を作って

一緒にゲームを作って行くのが夢だものね」

「そうですよ。絶対成功させます」

「頼もしいわね。初めて会ったときはすごい

おどおどしてたのに」

「それはそうですよ。元々引きこもりのオタク

なんですから。今もそう変わらないですけど」

「そんな事ないじゃない。バイトだってまだ

してるんだし、咲夜さんともライブしてるし!

本当にすごい変わったわよ柊介わ」

「そういってくれるとうれしいです」


 柊介からゆいにキスをした。柊介は将来ゆいと

会社を作るためにまだバイトをしていて、咲夜の

ライブにも出ている。

 そんなほぼリア充になっている柊介だが、やはり

ラブコメは素直にゴールには行かせてくれない。


 二年になって二週間ぐらいした時だった。柊介の

クラスに転校性がやってきた。

 担任の女性教師、井上さやかがその転校生を

紹介する。


「今日から一緒のクラスになる神崎彩香(かんざきあやか)

だ!じゃぁ自己紹介を」


 とその神崎は柊介の所に歩いていき、目の前で

止まった。そして。


「あ!やっぱり浅倉じゃん」

「!?どうして僕の事?」

「覚えてない?私、あんたと同じ中学のクラスメイト

だったんだよ」

「!?もしかして三年の時の!!」

「正解。まぁあんたとは話した事ないけどさ!

だってあの時のあんたって」

「ま、待った!!その話は後で。今は授業中

なんだから」

「それもそうね。でも、本当に変わったわね!

最初は全然わからなかったわ」

「ははっ」


 彼女は案内された席に座った。柊介はずっと

暗い表情で、それは誰が見てもわかるほど

落ち込んでいた。

 そう、自分が一番嫌いだった暗黒時代の

あの頃を知ってる人がまさかここに来るなんて

どこのラブコメアニメだよと柊介は心の中で

ツッコみながらもまたおどおどし始めた。


 休み時間になり、やはり神崎は柊介の所に

やってくる。


「浅倉、さっきの続き」

「神崎さん!まだ校内わからないでしょう?僕が

案内するからその間にしよう」

「それもそうね。じゃぁお願いするかな」


 柊介は神崎を連れて行った。神崎は中学の時と

そう変わらないが、色っぽくはなっていた。

 そこまでではないが性格はギャル風なので

言いたい事ははっきりいう神崎。


「本当にどうしたの?やっぱ高校デビューでも

考えた?」

「い、いや、こうなったのは最近だよ。今は

ちゃんと夢があるし」

「へぇ、それってオタクみたいな?」

「そうだね。でも、それはすごく楽しい事

だから、いくら神崎さんでも悪く言うのは

許さないよ」

「お、あんたからそんな言葉を聞くなんてね

大した度胸だよ。わかった。あんたを悪く

いうのはよそう。でも、それじゃ面白くない

んだよな。あの時みたいに皆と一緒じゃないし」

「そういえば、こっちに転校してきたんだっけ

その、あの時の友達とは連絡してないの?」

「ああ、ちょっとわけあってね。まぁそれで

つまらないなって思ってたんだけど。ちょうど

そこにキミが」

「何か聞いたようなセリフだけど。でも、今の

僕はあ、あの頃とは違うよ。絶対何かされても

負けないから」

「あらっ!本当にかっこよくなったのね!

そうね、そっちも面白いかも」

「そ、そっち?」

「ええ。ねぇ私と付き合わない」

「!?そ、そんなの冗談でしょ?」

「そうね。でも、今のあんたホントにいい感じ

に見えるしさ。どう?遊びでも付き合って

くれたらいいことしてあげるケ・ド!」


 神崎は胸の谷間を見せた。でも、今の柊介には

ゆいがいる。だからすぐに断ろうとした時だった。

 二人がいる踊り場にそのゆいがやってきたのだ。

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