第26話 僕のやる気① 音楽活動 

 休日、朝早くに起き、作業に入る柊介。それは

曲を作る作業だ。

 今までは好きなアニソンを演奏するのが

多かったが、柊介は今自分がやりたい事を見つけ

ようと色々試していた。

 その一つがアニソンのミュージシャン、もしくは

作曲家になる事だった。

 学校でのライブや、咲夜と練習だが、本物の

ステージでの演奏を思い出し、柊介はまたやって

みたいと思うようになっていた。


 キーボードとパソコンを立ち上げ演奏を

始める。なんとなくだが作る事はできていたが

本当にこんなんでいいのかとまだ自信のない

柊介。それでも、バイトに行く夕方まで

作業を続けていた。

 時間になりバイトに向かう。着替えて

仕事をする柊介。その途中でも店に流れる

曲を聞きながらそれを参考に覚える。

 それが目立っていたのか、他のスタッフに

話しかけられる。


「浅倉、ずいぶん楽しそうだな」

「え?そうですか?」

「ああ、体が踊ってるぞ」

「!?すいません」

「まぁ気をつけな」

「ハイ」


 柊介はついリズムを取りながら動いて

いたようだ。

 時間になり着替えて帰ろうとすると

佐伯に呼び止められた。


「浅倉くん、お疲れ様」

「お疲れ様です」

「なんか今日は楽しそうだったね」

「あ、すいません。ちょっと調子に

のってました」

「何かあったの?」

「えっと、ちょっとやりたい事が見つかった

気がして、それで」

「そうなんだ。でも、楽しくするのは

良い事だからね。それでそのやりたい事って?」

「えっと、まだ始めたばかりなんですけど

曲作りです」

「それはすごいね。浅倉くん、演奏うまいからね!

じゃぁ将来はミュージシャンに?」

「まだそこまで決めてないですけど、音楽に

関われればいいかなって」

「それで楽しそうにしてたんだね。いいね

やりたい事があるのって」

「佐伯さんはないんですか?」

「そうね。今はこの仕事かな。それ以外の

趣味とかはあまりないからね。でも、最近は

音楽も聞くようになったかな」

「そうなんですか。やっぱり音楽は良いですよね」

「そうね。気持ちも楽しくなるしね」


 そんな話をして柊介は帰った。途中でお店に

より、CDを買って帰る。

 部屋に戻ってからも作業を続け、夜遅くまで

していた。


 次の日、学校につくと音楽室に向かい、そこで

ピアノを弾く。

 すると、香澄がやってきた。


「やっぱりキミの演奏か」

「奥井先輩、おはようございます」

「ああおはよう。なんか今までと音が違うな」

「え?そうですか?僕はまだまだって思いますけど」

「そんな事はないさ。それに、聞かせようと

する気持ちも伝わってくるしな」

「聞かせる?」

「そうだ。今までのキミの音はどこか迷いが

あった感じだ。まぁライブではそこまで

なかったがな。でも、最初の頃は本当に音が

鈍い感じがしていたよ。でも、今のキミの音は

しっかりしている。演奏者の音だよ」

「確かにそうですね。僕も少し自信がついて

きたというか、それが音にも出るんだ」

「そうだな。やはり今のキミはカッコイイぞ」

「!?奥井先輩」


 香澄は座っている柊介の後ろから抱きしめ

耳元でささやく。


「浅倉くん。このまましてみようか?」

「な、何をですか?」

「わかってるだろ?キミも男の子ならな」

「先輩」


 香澄の手が柊介の体をなでる。すると廊下から

人の声がして香澄はそれをやめた。


「しかたないここまでかな」

「先輩」

「すまないな。でも、悪くはなかっただろ?

キミがその気になってくれればいつでも私は

してあげるぞ」


 そう耳元でささやいて香澄は出て行った。柊介は

まだ香澄のやわらかい感触を少し感じていた。

 そんな事があっても、柊介は休み時間、ゲーム

ではなく音楽を聞いていた。


 家でもすぐに演奏をして、本格的に柊介は

音楽にとりかかった。

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