第22話 僕と学園祭② クラスメイトと衝突し逃げる柊介

 ある時の放課後、教室ではなく第二音楽室で練習を

していた柊介達。

 他のクラスメイトの組にも柊介はオリジナルで

曲を渡していたが。


「なんだこれ全然できねぇ!」


 どこかの男子が声をあげた。


「落ち着けよ、たしかにムズイけどできたら

かっこいいぜ」

「ああ、できたらだけどな」

「できるかこんなの!おい、別の曲やろうぜ」


 その声に練習していた別組も動きが止まった。

 するとそこに進藤がやってくる。


「おい、あまり勝手な事はするなよ。せっかく

あいつが作って来たのに」

「いいだろう別にまだ完全にこれをやるなんて

決まってないんだからな」

「そうかもしれないが、わからなかったら

本人に聞くとか」

「そうだな」


 その男子生徒が柊介の所に向かって行った。


「おい、お前調子にのるなよ!」

「!!おい!?」


 その男子は柊介を押し倒した。


「ちょっと楽器ができるからってモテた気でも

なってんのか!」

「べ、別にそんなつもりはないよ」

「どうだかな!キモオタは何考えてるか

わからんしな」

「止めろ!それ以上は言うな」


 進藤が止めに入る。


「うるせぇ!俺は好きにやらせてもらうぜ」

「わかったよ」

「あ!?なにか言ったか浅倉」

「わかった!僕は学園祭に参加しない」

「!?おい浅倉」

「浅倉くん」

「ごめん。二人共。でも、こんな風にする人とは

やりたくない。所詮僕はキモオタだし、こんなのが

前に出ても気持ち悪がられるだけだしね。じゃぁ」

「浅倉!!」


 柊介は教室を出て行った。進藤は追いかけようと

したがクラスの方も気になるので柊介の方は

楠にまかせた。

 でも、洋子は柊介を探せなかった。

 その柊介すでに学校を出ていた。すぐに家に

戻り、部屋に閉じこもった。今は学園祭の準備で

バイトの方は少なくしている。


 翌朝、泉は柊介の様子がおかしいのに気づき

起こしにいくが、すでに柊介は出て行った

あとだった。

 始発に乗り、一応学校へ向かう柊介だが

教室には入れない。あんな事あった後だから。

 柊介は保健室に向かった。そこで先生に

事情を話し、この日は保健室で授業を受ける

事にした。

 

 その柊介のクラスは本人がいないことを

先生に聞いたが、先生は話さなかった。

 放課後、進藤は練習をせず話し合いを

する事にした。もちろん柊介の事でだ。

 先生にも残ってもらい、彼の事を聞いた。


「それで浅倉はあんなに後ろ向きなんですか」

「ああ、だから高校は地元から遠いここを

選んだらしい」

「楠さん、どう思う」

「私はわかる。私も同じだったから」

「そうなのか?」

「ええ。だから、今の浅倉くんの気持ちは

十分わかるつもりだよ」

「じゃぁお願いしていいか?」

「ええ。でも」


 洋子はわかっていた。一度こうなると中々

立ち直る事はできないのを。

 それから少しの間、柊介は教室には行かず

保健室に登校していた。

 その事をゆい達にも話していた洋子。


「そうか、どうりで連絡がとれないわけだ」

「私も電話したけど出てくれなかった」

「それだけ今浅倉くん悩んでるんだと思う」

「という事は中学の時によっぽどの事が

あったんだな」

「そうですね。先生も言ってました」

「よし、じゃぁ皆で浅倉くんを元気に

しよう」

「そうしたいが、今は大勢で行くのはあまり

よくないな。楠、任せれるか?同じクラス

メイトとして」

「ええ。やってみる」


 翌日、洋子は保健室に向かい柊介に

話を聞くことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る