第15話 僕の夏休み② 僕と美女店員の出会い

 ゆい達と海に行った翌日、柊介は今日はずっと引きこもろうと

思っていたが、姉に買い物を頼まれ、しかたなく

外に出る事になった。

 昼過ぎ、夏の暑い日差しが引きこもりの体の体力を

奪う。

 

「暑い、もうダメ、昨日も動いたのに今日も外に

出るなんて。どこかで休もう」


 いつもは目的の場所以外はよらない柊介だが

さすがにこの日は参っていた。

 しかも、そこに夏の嵐、ゲリラ豪雨の様に

雨が降って来た。

 当然傘は持っていないので、柊介は急いで

目に入った店にかけこんだ。


 カランと音が鳴り、柊介は玄関でだらける。

 すると、誰かに声をかけられた。


「大丈夫ですかお客様」

「!?あ、すいません。あの、お客じゃなくてただ」

「わかってますよ。すごい雨ですね」

「は、はい」

「よかった席にお座りください。今日は空いて

ますので」

「あ、ありがとうございます」


 そう言ってくれた店員はすごい美人でスタイルも

よくまさに接客のプロみたいな女性だった。

 柊介は一番奥の席に座り、一息つく。


「まいったなこんなお店、一人できたこと

なんてないし」

「そうですね。でも、最近は一人でも来る人は

いますよ」


 さっきの店員がやってきた。


「どうぞ、お水とお手拭きです」

「す、すいません。な、何か頼んだ方が

いいのかな?」

「大丈夫ですよ。まぁ頼んでくれるのでしたら

うれしいですけど、今日はこんな天気ですからね!」

「本当にすいません。あ、あとで注文しますね」

「わかりました。お決まりになりましたらこの

ボタンを押しておよびください」

「はい」


 店員は奥に戻って行った。柊介はメニューを

見た。普段はコンビニ食がほとんどで

あとは家にあるものとかだ。だからこういう店に

なにがあるかわからない。わかるとしたら

マックぐらいだ。

 そう迷って選んだメニューは普通にハンバーグ

だった。


「それじゃこちらをお一つですね」

「あの、一つだけでもいいんですか?」

「大丈夫ですよ。それじゃお持ちしますね」


 彼女が戻って数分もしないうちにメニューが

運ばれてきた。

 しかも、すごくいい匂いがして、さっきまでは

緊張であまり食べれないと思っていたが、料理を

見てみるとすぐに食べたくなった。

 初めて食べる料理に柊介は残さず食べた。少し

するとまたあの店員がやってきた。


「どうでしたお味の方は?」

「おいしかったです」

「それはよかったです。それじゃごゆっくり

していってくださいね。まだ雨は降ってますから」

「そ、それもいいんですか?すいませんなにぶん

初めて来たので」

「大丈夫ですよ。混んできたらあれですけど

今日はもうなさそうですからね」

「そ、そうですか」


 それから柊介は雨が止むまで店の中に居た。そして

雨が上がり、晴れ間が見えた。

 柊介は出ようとするが、お金はどこで払うのかも

わからないので、また店員を呼んだ。


「あの、お会計ってどこで」

「それならあちらですよ。案内しますね」

「はい」


 お会計を済ませた柊介。少し前の自分ならすぐに

立ち去るだろうが、ゆい達といるせいかこんな

美人な人にも話しかけれるようになっていた。


「あの、丁寧にありがとうございました。その

また来ます」

「ありがとうございます。次も私がいるかは

わかりませんが、いたら案内しますね」

「ありがとうございます。そ、それじゃ」

「ハイ。ありがとうございました」


 彼女は笑顔で見送ってくれた。もちろん営業スマイル

なのはわかっているが、何故か柊介の心に彼女の

笑顔が引っかかった。

 そして、家に帰ったのが夜になってしまったので

泉に怒られる。

 

 部屋に戻り柊介はその日、ファミレスの料理の

味と、あの店員の事で頭がいっぱいだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る