第14話 僕の夏休み① 皆と海へ

 七月になり、厚くなってきた頃、柊介にとって

悩む時期になる。

 それは、八月に行われる漫画やアニメの祭典

コミカルフェスという大きなイベントがあるのだ。

 それは大きな会場で三日行われ、世界中から

その手のファン達が集まるイベントだ。でも、元々

引きこもりな柊介はまだ一度も行った事が

なかった。だから、余計に行ってみたいと思って

いるのだ。


「やっぱり、無理かな。でも、一度は行ってみたい」


 柊介はずっと考えていた。休み時間も普段はゲームを

しているのだが、今はその情報が載っている雑誌と

にらめっこしている。

 そこに洋子がやってきた。


「何みてるの?」

「あ、えっと、これ」

「ああ、コミカルフェスね。これがどうかしたの?」

「うん、実は一度も行った事なくてさ。行ってみたい

んだけど」

「人が多すぎるのよね。あそこ」

「そうなんだよ。どうするかな」

「・・・・・・だったら一緒に行く?一人だから

不安なんじゃない?」

「そ、そうだね。でも、いいの?」

「ええ。浅倉くんがいいなら一緒に行くわ」

「じゃ、じゃぁお願いしてみようかな」


 と、そこにゆいと香澄がやってきた。


「何をお願いするのかしら」

「朝比奈先輩!えっとですね、これです」

「あ、コミフェスね。もしかして参加するの?」

「参加じゃなくて行こうかなって。まだ行った

事なくてさ」

「なるほど、じゃぁ一緒に行きましょう」

「いいの?」

「ええ。もちろんよ」

「ゆい先輩、浅倉くんとは私が一緒にいきますから」

「そうなの。でも、私も一緒に行っていいよね?

浅倉くん」

「も、もちろんです」

「なら、私も行こう」

「奥井先輩はこういうの知らないんじゃ」

「ああ、よくわからないが、知らない物を知るのも

楽しいからな。いいだろ浅倉くん」

「はい。じゃぁ皆でいきましょう」


 そうして皆でコミフェスに行く事になったが

その前にまた違ったところに行く事になる。

 夏休みに入り、柊介達は海に来ていた。


 それは、咲夜からの誘いで、コミフェスの事を

話したらその前に違う所で人込みになれた方が

いいと、海に誘われたのだ。

 

「ついたわ」

「こ、ここが海か」


 柊介は当然海にも来た事がなく、それにも驚いていた。


「じゃぁ着替えてこようか。柊介は荷物番な」

「う、うん」


 そう言ってるには姉の泉だった。柊介が初めて

泊まりで出かけると聞いて、ついてきたのだ。

 そして泉は驚いた。家にやってきたのは皆

美少女だったからだ、しかも、一人は有名人だ。

 車の中でこっそりとこの状況を泉は聞き

柊介が変わって来てるのをうれしく思った。


 荷物番をしている柊介の所に泉達が

やってきた。そのせいか周りが騒ぎ出す。

 なぜなら泉も含めて皆ビキニ系の

水着で、スタイルもいいからだ。これに

興奮しない男子はいない。ちなみに咲夜は

サングラスで顔を隠している。

 

「浅倉くんどうかな?」

「えっと、い、いいと思います」

「柊介、鼻の下がのびてるぞ」

「の、伸びてないよ」

「浅倉くん、泳ごう」

「うん」


 柊介を連れたのは洋子だった。柊介も

洋子とだと少し落ち着いて話せれていた。

 それも、同じクラスだからだろう。


 ゆい達も一緒になり皆で夕方まで海で遊んだ。

 それから近くの旅館に泊まる事になっており

そこについて、各部屋にわかれる。部屋は

柊介は男一人だが、姉の泉がいるので泉と

一緒の部屋になる。ゆい達は同じ部屋で隣の

部屋だ。

 

「じゃぁ後でね」

「はい」


 部屋に入り、ゆっくりくつろぐゆい達。


「まさか、お姉さんが一緒のなんてね」

「ああ。驚いたな。しかも、しっかりしていて

彼とは真逆の性格だ」

「そうですね。でも、そのお姉さんを味方に

できれば」

「・・・・・・」


 ゆい達は同じ事を考えていた。それから

柊介達と合流し、食事をしてからゆい達は

お風呂に向かった。

 湯につかりながら泉が話始める。


「それで、皆はあいつのどこにひかれたの?」

「え?そ、それは」


 いきなり姉から聞かれて顔を下に向ける一同。


「もちろん。優しい性格です」


 最初に言ったのは咲夜だった。


「見た目はあんななのに?」

「容姿は関係ないですよ。それに、何か魅かれる所が

あるんです彼には」

「そうですね。なんかめんどうみたくなる感じも

ありますね」

「へぇ。じゃぁ同じクラスの洋子ちゃんは?」

「私は、同じ趣味なのもあります。でも、それ

以外でも彼には」

「ふーん。まぁあいつにしたらこれ以上にない

モテキだね。この学校に入れて正解だったか」

「あの」

「うん?」

「えっと、中学の時の柊介くんってどんな

感じだったんですか?」

「あら、それ聞いちゃう?たぶん想像通り

だと思うよ。まぁそれ以上かもしれないけど」

「それ以上?」

「ま、それは誰かが恋人になったら直接あいつに

聞きな。まぁあいつが自分から選べればだけど」

「こ、恋人」


 姉の口からそう言われ、全員顔を赤くした。それから

部屋に戻り、この日は就寝した。

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