第13話 黒川咲夜の気持ち

 ここは某スタジオ。そこでアフレコをしているのが

黒川咲夜だ。

 高一で声優デビューをし、卒業してから本格的に

活動を始め、今人気のある声優の一人だ。

 今アフレコをしているアニメも人気作で

他にも複数の役を抱えている。

 歌も歌っていて、アニメ系のイベントのライブでは

常に呼ばれている。

 そんな咲夜は今度秋葉でCDショップでミニライブを

するので、その練習をしていた。


 その練習もすぐにやり遂げ、暇な時間を作る。彼女は

今一人暮らしで、マンションに住んでいる。

 実家からは近いので家族は安心できるが、咲夜は

もっと大人になりたいと思っていて、いつか親から

離れて自分で生活していくと決めていた。

 意外としっかりしているので、恋愛とかにも真面目で

これまで告白はあるが、全部断って来た。


 「なんかもっと面倒みてあげたいっていう子が

いればな」


 昨夜は学生の時もよく後輩の面倒をみていた。だから

自分は姉体質だと思っている。実際には妹はいないが。

 学生の時とは違い今は仕事をしているので

決まった時間に起きたりはない。それは芸能人と

同じで声優も今では芸能人の類に入る。

 

 次の休日に秋葉でのミニライブをするので今日が

最終リハになる。

 

「じゃぁこれで終わりですね。お疲れ様でした」


 リハも終わり一人帰る咲夜。咲夜の評判は

真面目でしっかりしている子だというのが

周りの意見だ。

 所属している事務所も今の人気はいいが

もう一つ何かがほしいと事務所内では

思われていた。

 そうして休日になり、朝一で店に出向く。開店

前に準備を済ませ、あとは時間が来るのを

待つだけだった。

 控室で衣装に着替え、歌詞を確認する。この日は

ミニライブなので歌うのは二曲だけだが、間違え

内容に咲夜はいつも歌詞を見る。

 そして、時間になり、特別ステージでイベントが

行われ、咲夜が呼ばれた。


 最初はアニメの話をして、それから歌に入る。

 どちらも盛り上がり、イベントは大成功で

終わった。この日はめずらしくこのイベント

だけで、残りの時間は自由に使えた。だから咲夜は

私服に着替えて秋葉を遊ぼうと思っていた。

 そして、街を歩いていて、ところどころで

気づかれている感じがした咲夜は路地に入り

少し時間をおこうとした。その時だった柊介に

声をかけられたのは。

 

 咲夜は見つかったと思い、どうにかしてやりとりを

して逃れようとしていたが。

 

「えっと、見てました。ぼ、僕ファンですから」

「!?」


 そのおどおどした感じが咲夜の何かに引っ掛かり

話を続けた。

 そうしてその日を柊介と秋葉巡りをしていて

楽しいと感じた。

 

「ありがと。今日は楽しかったよ。よかったら

また遊べるかな?」

「ぼ、僕なんかでいいんですか?」

「うん。キミ、悪い人じゃないし、それに、ファンは

大事にしないとね」

「あ、ありがとうございます」

「じゃぁこれ、私の連絡先ね。本物だから

公表しちゃダメだよ」

「し、しないです。絶対」

「ありがとう。じゃぁまたね」


 咲夜は楽しく家に帰った。部屋に戻てからも

柊介の事を考え居た。

 あんな感じの子を待ってたんだと。まぁ

容姿は少し落ちるけどと。

 それから柊介と関わるようになり、柊介が

学校で音楽をやると聞いて、話を乗ったり

演奏の手伝いをし、さらに学校でのイベントに

まで参加した。

 

 そのイベントの打ち上げをしようと咲夜が

提案し、皆で遊んだ。

 咲夜もこういう風に遊んだのは学生の時

依頼だったので楽しかった。それに、他の子が

柊介に近寄っているのもわかり、本気で

柊介を狙おうと決めた。

 なので帰る時、柊介の頬にキスをした。 

 

 家に戻った咲夜は顔を赤くした。あんな事は

今までした事なかったのであれが初めての

キスでもあった。

 お風呂の中でも柊介にキスした唇の

感触を感じている。

 咲夜はエッチな行為は知っているのでそのまま

柊介を思い、一人感じていた。


 それからはいつも通りに仕事をするが、柊介の

事を優先に考えてしまっていた。

 他の子と違って、自分は学生ではないので

あまり自由な時間はない。でも柊介には会いたいので

咲夜は開いた時間を柊介に会えるように調整

していく


 それだけ今咲夜は柊介に夢中だった。

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