第12話 楠洋子の気持ち

 柊介のクラスにもう一人、地味な女の子がいた。それが

楠洋子だ。彼女もゲームなどが好きでオタク系だった。

 本当はそういう話をしたいが、自分からは声を

かけれないぐらいに引っ込み思案だった。

 なので、高校に入っても友達ができないでいたが

同じクラスの柊介の事は実は初めの方で気には

なっていた。

 休み時間の間、柊介はずっとゲームをしていたからで

洋子はそれを横目で見ていたのだ。

 

 でも、自分から声をかけるのは緊張するので

中々話せないでいた。

 しかも、最近になって、他のクラスの女の子が

柊介に会いに来ている。それはクラス内でも

話題になっていて、余計に話しずらくなっていた。

 そんな中で、オリエンテーションがある事が

わかり、洋子はここで思い切って柊介に話しかけて

みようと思っていた。

 話しあいが始まり、クラスの中心の進藤が

進めていき、その進藤が柊介に話しかけた。


 さすがに柊介は堂々とは応えれずにいて

それを洋子は助けてあげたいと思ったが

自分も何もできないでいた。

 そんな中、話し合いが終わり、一度トイレに

行き、教室に戻るとそこに柊介は残っていた。

 初めて二人だけの空間になり、思い切って

声をかけようと思った。そして、いつもの

自分の声で話しかけた。


 それから柊介とのつながりができ、進藤の

誘いもあり、一緒にいる時間が増えた。

 楽器の練習の時も洋子なりに積極的に

柊介に教えてもらおうと話しかける。

 その練習があった日の夜は洋子は

うれしそうにしながら家に帰る。もちろん

思いっきり笑ったりではなく、心の中で

はしゃぐ感じにしていた。

 

 自分の部屋で借りてきた楽器の練習を

する。そこに柊介から電話がくる。一緒に

する事になって、三人は連絡を交換して

いて、色々話し合っていた。


「浅倉くんってどんなゲームするの?」

「ゲーム?ゲームはね」


 と練習の事以外でも話そうとしていた。本当なら

練習以外での事を話していたら怒られたり

するかもだが、そこは柊介なので、しかもゲームの

話ともなれば喜んで脱線する。

 そう話していると真夜中にまでなる事もあり

次の日は少し眠くなる事もあった。


 そんな感じで進藤も踏まえて柊介と一緒の

時間を作れていたが、ゆい達に一度見て

もらおうとした時だった。

 学園以外の人を柊介が連れて来た。しかも

それが自分も好きな声優の黒川咲夜だったのが

人生で一番の衝撃的な事だった。


 そんな事もありながらオリエンテーションは

無事に成功した。

 それから打ち上げをしようと柊介達と

遊ぶ事になったが、そこにも咲夜がやってきて

他にもゆいと香澄が積極的に柊介に近づこうと

しているのがわかった。

 だから洋子もなんとか近づこうと少しずつ

だが柊介に接近していった。


 そうして打ち上げが終わり、咲夜も帰った後に

ゆいと香澄と三人で集まり、ついに柊介を

めぐってライバルであると認識しあった。

 部屋に帰ってきて、洋子はこの中では一番

自分が地味だから不利だと思っていたが、柊介と

同じタイプでもあるので、それを利用して

近づく形を取ろうと考えた。


 そこから洋子がクールだが積極的に柊介に

近づきつつあった。

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