第53話 蜘蛛と戦うのかー

「ミリアが居る時に聞いておけばよかったな…」


 朝にミリアを送り出してから思い出した


「遠距離攻撃が欲しかったんだよ!蜘蛛に近付きたくない!思い出したくもなかったくらいだけど!」


 俺の中の知識で考えると…


 遠距離攻撃の定番と言えば、矢かな

 弓よりはボウガンの方が、まだ難易度は低そうな印象だ

 ただ、いちいち装填するのは大変そうだし、持ち歩くのも邪魔になりそうだなー


 投げる武器の定番と言えば刃物になるのかな

 スローイングナイフとか…よりは、手裏剣の方がまだ簡単そうだ

 でも手に入るのか?

 威力で言えば投斧だけど…重そうだし邪魔だよなー


 でもどれも回収しないとなくなるから、やっぱり投石か?

 基本的にどこでも手に入るけど…


「この間、蝙蝠の時だったかな?手頃な石がない時があったよな…」


 だめだわからん


 今日は無駄な考察は諦めて4Fで狩る事にして、魔法の練習を始めるか

 先ずは【魔法剣!】から…


「これ、伸びるんじゃないか?むしろ何度か伸びたんじゃないか?」


 スキル化する前の練習で伸ばし過ぎてへにょへにょになった事がある

 でもラジーの首を斬り落とした事がある

 ごっつい蛇の首も落としてる


「伸ばし過ぎるとへにょってたけど、芯があると頑丈だった。でも一瞬、頑丈なまま伸びてた可能性がある」


 普段の練習は単純に作って回収して作って回収しての熟練度を稼ぐ作業みたいなものだ

 伸びる可能性、伸びても実用的になるという可能性がある以上、それを目標に練習してみるのもいいかもしれない

 そもそも俺が創った、俺に都合の良いスキルなんだ

 魔力が回収できると言う事は、これに関してMPは無限に等しい

 いっそ今日はコロちゃんに我慢してもらって一日使って練習してみるか?


 他に、暗闇の対策が必要だな


「光よ」


 歩く


 ついて…来ない


「なんなの!?異空間の入り口と言いこれと言い、魔法ってみんなその場で固定されちゃうの!?」


 まあ今まで使ってきた時もその場で動かなかったから内心わかってたけどさーわかっちゃいたけどさー

 異空間の入り口はスキルLvが上がってから動くようになったんだよな

 光球は…光球自体にスキルLvはないな

 あくまで【基礎魔法】の一部だもんな

 お得な5点セットだったもんな


「懐中電灯型の時計を買っておくべきだったのか…?」


 いや、この発想自体が何かに対する負けのような気が…する事が負けだな

 使えるものは使える、評価を改める事を恐れてはいけない

 よし、手段が思い付かなかったらお店に行ってみよう!

 ほら、珍しい物が好きな知り合いにたまたま話したら、欲しがっちゃった感じで!

 ミリア、君の尊い犠牲は決して無駄にはしない…


「その前に自助努力だ」


 そもそも他の冒険者はどうしてるんだろう?

 まさか松明なんて危険な物を使ってるわけがないだろうしなー

 何らかのスキルとか?

 ミリアの夜目みたいな?

 それはそれで一つの正解だろう

 じゃあ他は?


「うん、知らないものは知らない、考えて答えが出るものでもない。何も浮かばなかったら素直に訊こう」


 俺ならどうする?

 基礎魔法はある


「光球って動かせないのか?」


 この浮かんでる光球、熱くないよな?

 火の玉じゃないもんな?


 ポンッポンッと触ってみる


「そもそも触れない…」


 どうするか


 魔法ギルドのお兄さんに相談…


 うーん…


 多分まだ会いに行ける段階じゃないよなー


 やっぱり他の冒険者がやっているであろう、何かの明かりを持ち込むとか?

 魔石とかでそういうアイテムがありそうだし

 でもなー

 せっかく武器を強化して荷物と出費を減らしたのに

 ただでさえダンジョンの中は荷物が増えていくのに

 そりゃ魔力結晶は比較的、嵩張らないけどさ


「素直に魔力結晶を消費して光球を使っていくか」


 いくつか並行して光球を出して進もう

 蜘蛛一匹倒せば、光球を6回使えるだけの魔力結晶が手に入るし

 蛇に至っては、倍以上の回数が使えるし

 とりあえずはこれで良しとしておこうかな?


「あとは蜘蛛への対抗策…気合しかないかなあ…」


 はぁ…


 ぷるぷる


 いいの?


 ぷるぷる


 じゃあ、俺が大丈夫になるまで、コロちゃんに任せちゃうよ?


 ぷるぷる


「わかった!俺も覚悟を決める!今日はまだ頼る事になると思うけど、午後からはちゃんとダンジョンへ行く!」


 【魔法剣!】を延長するのは実地訓練でやっていこう

 どうせ今まで散々、熟練度を稼いできたんだ

 近い内にスキルLvも上がる可能性がある

 スキルLv2までは比較的簡単に上がってきたし!


「コロちゃん、蜘蛛を食べさせてあげるからね!」


 ぷるぷる






「やればできるもんだな…」


 襲ってくる魔物を確実に倒しつつ、バテない程度の駆け足でダンジョンの4Fと5Fの境まで60分

 これで完全に道を覚えたら、もう少しくらいは短縮できそうだ


 あ、お昼ご飯おいしかったです


「さあコロちゃん、この暗闇の中に…蜘蛛が…居るから。お、俺も頑張るからね!」


 ぷるぷる


「ありがとねコロちゃん。でももし、蛇が居たらそいつが最優先だからね。俺が蜘蛛に襲われてても、蛇が居たら最優先で…」


 ぷるぷる


「だ、大丈夫、キモいだけでは死なないから…蜘蛛のステータスなら無防備なところを襲われさえしなければ死なないし、それに蛇のステータスなら一撃で倒せるから。凍って動けなくなるのが一番危ないから」


 そう、この前も思ったけど、ステータス差で考えれば、少なくともここまでの魔物は俺達の敵じゃない

 蜘蛛に対しては俺の気持ち次第だけど、蛇の場合は魔法で凍らされるのが一番危ないんだ


「だから、優先順位だけは絶対に間違えないように、お願いね」


===

 ハジメ 人 18 リスガー

 パーティ:コロ

 状態:女神の加護(均衡)

 Lv 0 Exp 0

 HP 458/541 → 606

 MP 139/171 → 188

 SP 179/487 → 551 (15%↑ 体術Lv3)

 ATK 589 → 661 (15%↑ 体術Lv3)

 DEF 471 → 527

 MATK 136 → 148 (5%↑ 魔力強化Lv1)

 MDEF 127 → 138 (5%↑ 魔力強化Lv1)

 SPD 495 → 563 (15%↑ 体術Lv3)

 STR 586 → 664

 VIT 539 → 612

 MGC 175 → 200

 AGI 484 → 552

 スキル:体術Lv3、簒奪者Lv1、収納魔法Lv2、女神の加護Lv2、最適化、存在強化、ステータス改、基礎魔法、パーティLv3、魔力操作Lv2、魔力感知Lv2、体当たりLv2、短剣術Lv2、暗殺術Lv2、集中Lv2、剣術Lv2、棍術Lv2、弓術Lv2、遠吠えLv2、カウンターLv2↑、魔力強化Lv1、魔力効率化Lv1、魔力回収、魔法剣!Lv1、マジックフィルム!Lv1、ステータス抑制、PT特典、ステータスLv2、斧術Lv1、HP回復量上昇Lv2、回復魔法Lv1、保護色、熱感知↑、氷結魔法↑


 コロ スライム 2 -

 パーティ:ヤマト

 状態:正常

 Lv 36 → 38 Exp 231,557 → 263,242

 HP 196/142 → 148

 MP 98/47 → 49

 SP 250/120 → 125

 ATK 139 → 144

 DEF 122 → 127

 MATK 31 → 32

 MDEF 27 → 29

 SPD 152 → 158

 STR 158 → 164

 VIT 157 → 163

 MGC 73 → 76

 AGI 175 → 182

 スキル:捕食Lv3、真似っ子Lv3、指揮、回復魔法Lv1、保護色、熱感知、氷結魔法、振動感知↑

===


 さすがチート、ここと入り口の往復でもステータスは結構伸びるもんだ

 コロちゃんのこのLvでこの戦力は不釣り合いだろうから、Expの伸びは異常なんだろうな

 そんでもってここに来るまでにほぼ走り続けて、SPが半減してるな

 でもまあ戦力的にコロちゃんが居るし、待ち遠しい感じだし、さっさと…は、入るか

 どうか、造網性の蜘蛛じゃありませんように…


「まず明るいうちは普通に、でも周囲に注意しながら進んで…ひっ!」


 なんだ蝙蝠か

 ま、まあ魔力感知で空中に浮いてるのをわかってたけどね!

 サクっと迎撃だ


 ぷるぷる


「大丈夫だよコロちゃん」


 ぷるぷる


「振動感知を持ってるって事は、喋らなくてもそこに居るだけで襲われるから…蛇だ!」


 コロちゃんが突貫して倒す

 やっぱり一撃じゃないか


「あまり離れすぎないように気をつけようね…」


 そろそろ光球を使う時が来たようだな

 なんか感知に大量に引っかかってるけど襲ってこない…

 蝙蝠かヤモリかどっちだ

 どっちであってもおぞましい光景になってそうだな


 コロちゃん、明かりをつけるからね…


 ぷるぷる


「光よ!」


 蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠…


 蝙蝠の巣か!


「あれ…怒ってる…?」


 なんか起こされて不機嫌な感じだなー

 あー、一斉に向かって…来たー!


「やるよコロちゃん!」


 ぱたぱた


 向かってくる蝙蝠を迎撃し、攻撃が間に合わない分はかわして、かわせない分はしっかりガードしつつ確実に数を減らしていく

 コロちゃんとの特訓が活きてる!やっといて良かった!


「お疲れ、コロちゃん…」


 ぷるぷる


 そうか、Lvが上がってきて、たまに一撃で倒せるようになったのか

 倍化してれば、単純にステータスの伸びも倍になるようなもんだしな


「光球の光は強すぎるのかな。一斉に襲ってくる。確かにこの数は、パーティ前提なんだろうな」


 これだけのステータス差があって、初めて捌ける感じだ

 でも俺とコロちゃんなら、戦力的にはまだやれる!


「そろそろ次か。光よ!」


 蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蜘蛛、蝙蝠、蝙蝠、蝙蝠、蜘蛛、蝙蝠、蝙蝠、蛇…


「蜘蛛きたー!」


 でもまずは奥の方の蛇だ!

 ええい蝙蝠の大群が鬱陶しい!

 構うか!突っ込む!


「コロちゃんフォローお願い!」

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