第46話 頼れる相棒

 コロちゃんGo!


 感知で探し、念話で伝え、コロちゃんがガンガン蝙蝠を狩りまくる

 一確は無理だったけど、体当たりの後にそのまま体を伸ばして、相手を包み込む

 と言うか、もはや取り込んでるな

 捕食のLvが上がって、捕食速度だけじゃなくて器用さも上がってるみたいだ

 打撃やなんかと違ってコロちゃんの捕食は予備動作が不要だから、体当たりの後に食らいついたらそのままダメージ確定だ

 これはもう、ある程度のステータスさえあれば通常攻撃が二回攻撃みたいなものだな

 すごい!コロちゃん強い!

 最初に襲ってきたグラスウルフを倒したのも、もしかしたらこれだったのかもな


 俺の仕事は走って追いかけて、コロちゃんが吐き出す魔力結晶を回収する事だけだった

 昨日は通路に沿って走り回るだけだったが、今は飛んでるコロちゃんを追いかけてた

 最短最速で足場の悪い中を走ったり跳んだり、思いがけずニンジャごっこの修行になった

 もしかして、コロちゃんは単にハッスルしてるんじゃなくて、最初から俺の事をスパルタ式で鍛えてるんじゃないかという気すらしてきたな…


 ともあれゴブリンの時とは違い、もう【体術】がLv3になってるから以前よりもものすごく自由に動ける

 ステータスも当時より断然上がってるし、修行中も更にステータスが上がっていく

 もちろん修行中も【魔法剣!】と【マジックフィルム!】の発動と魔力回収もしてた


 【簒奪者】はコロちゃんが倒した敵に対しても効果があるようだ

 パーティ組んでたら有効なのかな?

 つまり、やり方によっては単純に、俺とコロちゃん両方の成長速度が倍になる!


 そろそろ、コロちゃんのステータスを倍化しても俺自身が戦えるんじゃないか?

 試しに、奥へ進もう

 二人で同時にヒャッハー無双したら、とんでもない効率になりそうだ


 あ、何かがこっちに来る

 また人だったらまずいな


 コロちゃーん、人が来るかもだから一旦戻っておいでー


 ぱたぱた


 隠れて隠れて!


「あれ?今、蝙蝠同士が戦ってなかったか?」

「そんな事あるんですか?」

「いや…ココチカバットにそういう縄張り争いみたいな習性があるなんて聞いた事ねえぞ」

「なら、じゃれ合ってたとかなんじゃ?」

「じゃれ合いでどつき合いかよ…気合入ってんな」

「お気をつけてー」


 危ない危ない


 ぷるぷる


 コロちゃん、そろそろ満足した?


 ぷるぷる


「そかそか。ちょっと思いついたんだけどさ」


 ぷるぷる


「体当たりからの捕食してるでしょ?で、捕食する前に相手を捕まえる時、体を伸ばしてるよね」


 ぷるぷる


「捕まえてから相手に食らいつく前に、体当たりのつもりでぶつかったら三回攻撃にならないかな?胸倉を掴んで頭突きとか殴るみたいなもんなんだけど」


 ぷるぷる


「あー!そうか!それなら捕食で終わらせないで、掴んで弾いて掴んで弾いてを繰り返せばいいんだ!すごい!コロちゃん賢い!」


 ぷるぷる


「あ、なるほど…それやると、さすがに自分が痛いよね…捕食するからHP回復してるんだもんね…」


 ぷるぷる


「そうだね、捕食前の攻撃は多くても二回までにしておこう。不測の事態が起きたら大変だ」


 ぱたぱた


「あ、ちょっと待ってコロちゃん。これから先もそうなんだけどさ、新しい場所に行く時には、まず俺のフードの中で様子見をして欲しいんだよ」


 ぴょいん

 ぷるぷる


「やっぱりコロちゃんさ、さっきの好戦的なのは、俺を鍛えようとしてた?」


 つんつん

 ぺちぺち


「だって急に、元の聞き分けの良いコロちゃんに戻ってるから」


 ぷにぷに

 ぺちぺち


「え、満足しただけ…?」


 ぷるぷる


「はは…それでも、いつもありがとね、コロちゃん」


 なでなで

 ぷ、ぷるぷる






 暫く歩くと、目の前には『この先第二階層』の看板


「いつもここで引き返してたんだよな」


 ぷるぷる


 特に境目が見えるってわけじゃないけど、もう少し奥なのかな?


 あ、コロちゃん、何か来るよ

 位置が低いから蝙蝠じゃないな


「あれ?ゴブリン…」


 なんで!?

 入口側で見かけてないのに!

 外に出ないの!?

 引き籠もりなの!?


 とりあえずサクっと狩っておく

 なんかもう、ゴブリンも討伐じゃなくて完全に狩りの対象だなー

 返り血も気にしなくていいならもう楽勝だ


「コロちゃん、この奥に固まってる反応があるよ。もしゴブリンなら…」


 美味しい団体さんだ!


「コロちゃん、制限解除!作戦名ガンガンやろうぜ!」


 ステータスを倍化して、コロちゃんGo!

 あっという間に5匹を殲滅だ!


「もう完全に楽勝だねー」


 ぷるぷる


「ん?強いのが居たの?でもすぐ終わったし、なんか個体差でしょ」


 ぷるぷる


「呼び出してみる?」


 ぷるぷる


 口笛を吹くと…あっという間に団体さんのお出ましだ


「えーっと1、2、…いいや、いっぱい。コロちゃん行くよ!」


 ゴブリン程度のステータスであれば、俺自身も戦える!

 屠った後にそのまま駆け抜け、集団から離れてから折り返す

 ステータス任せにほぼ往復を繰り返すだけの作業で、次々と倒れていく


 コロちゃんも集団の中に飛び込んで、跳ね回りながら次々とやっつけていく

 まるで狭い空間に、よく跳ねるボールを全力で投げ込んだみたいだ


 このままあっと言う間に殲滅かと思ったら、確かに一撃で沈まないゴブリンが居る


 距離をとってステータスを覗いてみよう


===

 - ゴブリンリーダー 0 -

 状態:正常

 Lv 8 Exp 708

 HP 77/196

 MP 21

 SP 155/163

 ATK 202

 DEF 180

 MATK 14

 MDEF 8

 SPD 116

 STR 225

 VIT 207

 MGC 36

 AGI 132

 スキル:指揮、棍術Lv1

===

ーーー

指揮

  配下に指示を出す

ーーー


 なるほどね


 観察している間にコロちゃんが他を殲滅したので、こちらもサクッとトドメを刺す


「なんかね、ゴブリンリーダーってのが居たよ」


 ぷるぷる


「多少ステータスが上がっててもゴブリンだもんね。もう慣れたもんだ」


 これが未知の敵なら警戒して…


 ぷるぷる


「そうだね…他より強いのが居るとわかってたんだから、確認してから戦った方がよかったね…」


 怒られた


 大した手間でもないし、次からは気になったらステータスを確認してから戦うか


「あ、蝙蝠は飛べるから仕方なかったけど、ゴブリンは擬態しないでね。可愛くないし、やる理由がないから」


 ぷるぷる


「お、噂をすれば」


 コロちゃんは飛び上がって、サクッと倒す

 まだまだ俺はそこまでの脚力がないからなー

 そのうち、ジャンプしたり壁走りしたりで狩れるようになるのかなー


「2Fは蝙蝠と引き籠もり、引き籠もリーダーって感じだね」


 迷った結果にわかった事は、魔力感知はマッピングには向いてないという事

 そもそも反応がなければ空間の存在はわからないし、多分壁の向こうは感知できてない


 そして、2Fまでの敵なら、コロちゃんと二人で同時に戦える


「2Fはあんまり美味しくないのに、無駄に広いね」


 ぷるぷる


「そろそろお腹空いてきた…」


 ぷるぷる


「不完全燃焼だけど仕方ないよね?」


 ぷるぷる


「じゃあ帰ろうか」






「そんなわけで、コロちゃんが大活躍したんだよ!」


 ぷるぷる


「コロちゃんすごいですね〜!」


 なでなで

 ぷるぷる


「それから、パーティ組んだらコロちゃんとお話できるよ!」

「やってみたいです〜!」


 ノーラがパーティにくわわった!


 ぷるぷる


「そうなんですか〜、これからもハジメさんを見張っていてくださいね〜」


 ぷるぷる


「いやいやコロちゃん、俺にスパルタしてる時のコロちゃんも結構なもんだったよ!?」


 ぷるぷる


「ふたりとも、めっ!ですよ〜?喧嘩しないで仲良くしてください〜」


 ぷ、ぷるぷる


「そ、そうだコロちゃん、ノーラに擬態を見せてあげたら?」


 ぴょいん

 ぱたぱた


「き、きゃー!!!」


 あ、コロちゃん落ち込んじゃった…

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