第26話 やれば出来る子

 大丈夫だ、俺は失敗しない!

 身体能力もステータスで上がってるし、失敗してもステータスが守ってくれる!

 …ステータス頼りだな完全に

 いや、それなりに培ってきた運動神経があるはずじゃないか!

 なんかミットに上段ローリングソバットとかして遊んでた気もするし!


 助走を付けて…


 できる!やれる!俺はやれば出来る子だ!


 踏み切る!

 そして…踏みつける!


 …高い!恐いよ!想像以上だよ!身長超えちゃったよ!


 でもできた!

 思いっきりジャンプして脚力を確認した時に、もしかしてと思ったけど!


 …あとは、着地までの目算だけどこれは練習あるのみだ

 受け身を忘れてなくてよかった、ほんと


 今ならパルクールみたいな事も練習次第で出来そうだな

 これはもう、某暗殺者のような動きを取り入れるべきだろ!

 ナイフ二本あるし!フード付きマントだし!

 ローブじゃなくてマントを選んだのも、ロマンを追求しろとのお告げだったんだ!


 ぷるぷる


「あ、お待たせコロちゃん。何とかなりそうだから、木立でゴブリンを呼び出そう!」






 木立に入って口笛を吹く

 現れないので、更に吹く

 もひとつオマケに口笛を吹く


 来ないなー

 音が届かないとやって来ないよな

 よし、移動しよう


 と思ったら

 魔力感知に反応が


 …なんだよこれ

 前回は8匹だったのに、今回は倍以上居るじゃないか

 ひーふーみー…23?


 えー…

 3倍じゃん…


 これ、ピンチじゃね?

 どうしようもなくね?

 だけどもうやるしかないじゃん






 で、頑張ったさ

 結果、勝ったさ


 そりゃもうドロドロだ

 辺り一面、血で汚れてる


 何度も何度も囲まれたけど、その度に樹を蹴って


 軽そうな剣は腕で捌いて


 判断ミスって鈍器を受け止めたり


 捌いて突いて


 ぶつかって


 殴られて突いて


 矢が掠めて


 すれ違いざまに斬りつけて


 飛び降りざまに突き立てて


 抜いて


 いなして


 殺し尽くして



 ステータスの差は偉大だった


 ダメージも動けなくなるようなものじゃなかったし、その気になれば相手はノロかった

 ゾーンに入るってこういう事か


 魔法を使う事もなかった

 と言うか、考える暇もなかったな


 身体能力以外では魔力感知も凄かった


 近付いて来る方向がわかるだけでも全然違う

 これがなかったら、どうなってた事か

 魔法ギルドの謎のお兄さんに感謝だ


 あ、手甲にも頼ったな

 見事にベコッと凹んでる

 押し出された革が食い込み気味で地味に痛い


 いいや、捨てちゃえ

 青タンできてら


 ナイフも刃が欠けた


 最後は貰ったナイフが活躍した


 斬れなくなって突いて


 危なくなって投げつけて


 俺が買った短剣はもうダメだ

 ちゃんと持って帰らないとゴブリンどもが拾っちゃうかな


 そして何よりコロちゃんが居てくれて…


 ぴょいん


 攻撃してくるゴブリンを何度も撹乱してくれて

 時には囮になってくれて


 ぷるぷる


「あ、コロちゃん…食べ終わった?」


 ぷるぷる

 ぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっぺっ


「おー、大漁大漁」


 拾って立ち上がろうとしたら…あれ?


 腰が抜けて…


 膝が、全身が、震えてる


「ははははは…」


 そうか、怖かったんだな

 さすがにね、うん

 泣いてない


 泣いてない


「コロちゃん…」


 なでなで

 ぷるぷる


「ちょっと休んでから帰ろうか」


 ぷるぷる


 生きてて良かった


「とにかくステータスの確認しなきゃ」


===

 ハジメ 人 18 リスガー

 パーティ:コロ

 状態:女神の加護(保護)

 Lv 0 Exp 0

 HP 145/206 → 228

 MP 115/166 → 170

 SP 124/187 → 205 (10%↑ 体術Lv2)

 ATK 201 → 225 (10%↑ 体術Lv2)

 DEF 190 → 210

 MATK 144 → 146

 MDEF 138 → 140

 SPD 197 → 211 (10%↑ 体術Lv2)

 STR 115 → 142

 VIT 116 → 141

 MGC 102 → 107

 AGI 114 → 131

 スキル:体術Lv2↑、簒奪者Lv1、収納魔法Lv1、女神の加護Lv1、最適化、存在強化、ステータス改、基礎魔法、パーティLv1、魔力操作、魔力感知Lv2↑、体当たりLv2↑、短剣術Lv2↑、暗殺術Lv1、集中Lv1↑、剣術Lv1↑、棍術Lv1↑、弓術Lv1↑

===

ーーー

魔力感知

  周囲の魔力を持つ存在を感知する

 - Lv2

  半径50mの範囲で魔力とその大きさを感知する


体当たり

  体重を乗せて相手にぶつかる

 - Lv2

  重心付近で与えるダメージに補正

   増加率15%


短剣術

  短剣を扱う技術

 - Lv2


集中

  極度の集中により体感時間が遅くなる

 - Lv1

  回避率に補正

   増加率(スキルLv×5)%

ーーー


 なんだよ、ステータス的には殆ど減ってないじゃんか…


 完全に精神的な問題だな

 要するにビビってたってだけだ


 何が余裕だよまったく


 あ…MPが51しか減ってない


 て事は、着替えを入れてくるの忘れたって事か

 着替えは部屋だな

 換金しなきゃ現金もない


 2日連続でノーラに怒られるのか…


===

 コロ スライム 2 -

 パーティ:ヤマト

 状態:正常

 Lv 13 →16 Exp 3,245 → 7,995

 HP 84/75 → 84

 MP 24/20 → 24

 SP 71/64 → 71

 ATK 76 → 84

 DEF 65 → 72

 MATK 13 → 15

 MDEF 12 → 14

 SPD 86 → 95

 STR 87 → 96

 VIT 83 → 93

 MGC 31 → 37

 AGI 99 → 109

 スキル:捕食Lv2↑、真似っ子Lv2

===

ーー

捕食

  大抵何でも食べられる

 - Lv2

  食べるとHP/MP/SPを回復する

ーーー


 コロちゃん、食べて回復しちゃったんだな

 これじゃどれだけ影響があったのかわからないや


 …もっと余裕を持ってコロちゃんを気にかけないとダメだろ俺ッ!!!


 俺が受けたダメージは、コロちゃんが軽く瀕死になる量だ

 DEFも低いし下手してたら死んでた

 SPだって計算上は尽きてておかしくないはず

 捕食があったからって油断していい理由にはならなかった

 実際、コロちゃんがどうしてたのか、はっきり覚えてないじゃないか…


 俺が危なくなった時に助けてくれた事しか覚えてない!


「コロちゃん、帰ろうか」


 ぴょいん


 日も傾いてきた


「いつもありがとね。それから…」


 ぷるぷる


「本当に、危なくなったら、逃げてね」


 ぺちぺち


「ちゃんと逃げるんだよ」


 ぷるぷる

 べちんっ


 べちんっべちべちべちんっ


「…うん。ごめんね。もう言わない。言わなくて済むようにする」


 ぷるぷる


「約束するよ」


 なでなで

 ぷるぷる

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