第25話 再確認

 もう一度ちゃんと読んでみよう


ーーー

最適化

  女神ちゃん(仮)特製保護スキル

 - Lv1(MAX)

  リソースで魂の修復をする際に馴染む程度に取り込む

  余剰分は熟練度にまわされる

ーーー


 馴染む程度…余剰分…


 『ごめんなさい、ただでさえゆっくり馴染ませていかないとだめな上に、強引にスキルをある程度流し込んだらもうそれで限界なんです…』


 女神様…

 ほんとにもう…


 ただでさえリソースは世界に還元されるのが自然なはずなのに


 これはもう、絶対にもう一度会うしかないな

 毎日お祈りもしておこう

 せっかく教会に居るんだし!


 結論は出た

 やる事は変わらない

 今までに何度この結論に至ったか分からないが

 結局、今できる事は冒険者として過ごす事だ

 体も鍛えて、お金も貯めて


「でもその前に!」


 お昼ご飯おいしいです


 ぷるぷる


「ねえノーラ」

「なんです〜?」

「女神様に会うには、どうしたら良いと思う?」


 食後にノーラに訊いてみた

 だって食事中だと行儀が悪いって怒られるし


「お祈りすれば気持ちは届きますよ〜」

「それは実感したけどさ」

「使徒様は聖職者みんなが羨む存在ですよ〜」


 使徒様って…

 俺は助けられただけの存在で、御遣いとかじゃないんだけどな


「まあそれはそれとして。何かこう、女神様にまつわる場所とかないかな?女神様のお話の発祥の地とか聖地とかさ」

「そのものずばりがありますよ〜」

「どこそれ!?」

「お隣のヤヌタート神聖国という所です〜」

「どれくらいで行けるの?」

「徒歩3ヶ月の〜馬車2ヶ月でしょうか〜」

「思ったほど短縮できないね」

「あのハスメール山脈を越えるので〜」

「ここから見える、あのでかい山?」

「ですよ〜」


 あれ越えてくのか…


「抜け道とか迂回路はない?」

「迂回はできますけど年単位ですね〜」

「抜け道もないのか…」

「普通は山越えですよ〜」

「行ったことはあるの?」

「残念ながら〜」

「…夢のこと、何も訊かないの?」

「ハジメさんにお任せします〜何とかしてしまいそうですし〜」

「うん、頑張るよ」

「ところで〜筋肉痛はどうですか〜?」

「あれ…?」

「起きて数時間すれば治りますから〜」


 んなわけあるか!

 …と言いたいところだけど、これが現実だ

 きっとこの世界の法則か何かだろう

 気にしたら負けだ多分


 時間をとらせたので、せめて皿洗いはさせて貰った

 今の話だと一番確実なのは山越えだな

 洞窟で変なお約束に遭遇しても困るし

 …フラグ立ててないよな?


 ともかく午後は、また仕事を受けよう

 体を鍛えてお金を貯めなきゃ


「コロちゃん、行こう」






 ギルドに着いて、クエストボードの前へ


「どれもぱっとしないなぁ」


 ここに来れば何らかの仕事があるっていうのは幸せな事なんだけど…


 暴れ兎は単純に探すのが面倒だし

 採取や雑用なんかは体が鍛えられない


 他のランクのお仕事に目をやる


「ランク上げるか」


 強い奴を倒して体を鍛えて、その実績でランクを上げる

 ついでに魔力結晶も売れるだろうし

 うん、完璧だ


「手頃そうな討伐の常設依頼は〜」


 ゴブリンじゃん

 こいつランク2の相手だったんか!

 一匹の討伐につき150Gって書いてある

 昨日、もし依頼を受けられていれば報酬が増えてたんだ

 まだランク上がってないって事は、数が足りないのか

 でもなー

 群れると面倒だしなー


 いやいや、贅沢は言ってられない

 そもそも、こんな事をしている暇があるなら、鍛えてお金を手に入れるべきだ

 決めた

 片っ端からゴブリンを狩ろう

 ランクが上がればゴブリン討伐の報酬も増えるし、そのための実績集めにもなる


 そして今日の目標は魔法なしだ

 MPは訓練用にとっておく!

 貰ったナイフより少し刃渡りの長い短剣を両手用に買ったし

 昨日よりは戦いやすいだろう!


「コロちゃん、またゴブリン退治でいいかな?」


 ぷるぷる


「じゃ、今日も元気に行ってみますか!」






 とりあえず探してみるもなかなか見つからない

 どれくらい見つからないかと言うと、グラスウルフと遭遇してしまうくらい


 久しぶりだな、わんころ

 今度はちゃんと勝つぞ!


===

- グラスウルフ 0 -

 Lv 6 Exp 150

 HP 80/80

 MP 7/7

 SP 66/66

 ATK 89

 DEF 68

 MATK 5

 MDEF 4

 SPD 92

 STR 102

 VIT 88

 MGC 12

 AGI 109

 スキル:遠吠えLv1

===


ーーー

遠吠え

  遠く離れた仲間に意思を伝える

 - Lv1

  有効距離半径10km

ーーー


 なんだよ、速さ以外はゴブリンより弱いじゃないか

 その速さも暴れ兎と大差ない

 こいつに苦戦してたなんて、本当に弱ってたんだな

 はっきり言って、チート持ちの敵じゃない


「おっと!」


 とか考えてる間に突進してきた!


「コロちゃん!」


 ぴょいん!


 コロちゃんも心得たもので、相手の動きに合わせて顔面に貼り付く


「今度の攻撃は通るだろ!」


 コロちゃんがビタンビタンされないうちに、一気にカタをつける!


「ふっ!」


 慎重に近づいて脇腹を刺して…


 これ、抜いたり切り裂いたら返り血を浴びるよな?

 反対側にも刺して…


「コロちゃんおいで」


 このまま待てば…

 って、遠吠えしそうだ!


「ふんっ!」


 顎を蹴り上げて終わった…


 ぴょいん


 う〜ん、なんか淡々と終わってしまった感じだ

 倍も開いてるとステータスの差って凄いな

 これ、囲まれさえしなければこの辺の敵って割と余裕なんじゃ?

 俺Lv35相当の強さらしいし、テオさんもこの辺に特別に強い敵は居ないって言ってたしな


 ゴブリンの時も安全マージン取り過ぎたか?

 手甲も装備してるし、今なら刃筋に気を付ければ持ち手じゃなくて得物を直接捌けるんじゃ?

 と言うかゴブリンの得物ってナマクラだったり鈍器だったな

 じゃあ創傷より打撲や骨折に気を付けるべきだ

 まず接触しないのが一番だけど、これならある程度は受け流せる

 何より、ルール無用の実戦に慣れてない俺に見切れるって事は、そんなに速くもなかったんじゃ?

 落ち着いて捌いてた気もするけど、さすがに興奮もしてたはずだし

 …一度だけ、試してみるか


 ぴょいん


「あ、食べ終わった?」


 ぷるぷる

 ぺちょっ


「魔力結晶持ってきたの〜?偉いね〜ありがとね〜よしよし」


 なでなで

 ぷるぷる


 さて、どこで呼び出すかな

 囲まれるというリスクそのものは、どこだって同じだ


 平原は、見通しがいいから一気に来なければ対応できそうだ

 でも今みたいに別の敵に見つかる可能性がある


 木立は、死角が一番恐いな

 今のところ、遠距離から攻撃してくる魔物には出会ってない

 いや、それだけじゃなくて追い詰められた時に木が邪魔になるか

 そもそも追い詰められないように…


 よし、先にちょっと試してみよう

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