第19話 俺、就職しました
「昨日の服が乾いてますけど、着替えます〜?」
「せっかく登録するんだから、フル装備で行こうかな」
「気合が入りますからね〜」
洗濯物を受け取って、部屋で着替える
待ってましたとばかりに、コロちゃんがフードへ入り顔を出す
「コロちゃん、そこ気に入ったんだね」
ぷるぷる
今度、フード付きの上着を予備に買うかー
ギルドへ到着すると、窓口が埋まっていた
午前の仕事、昼食、午後の仕事って感じかな?
別にリリアナお姉さんじゃなくてもいいんだけど、ステータスの事もあるし…
そう、ステータスの事情があるからな
もちろんリリアナお姉さんが対応してくれたら嬉しいのは間違いないんだけど
でも列が長い
どうしようかな〜
変に目を付けられてもヤバイし、目立たないようにしてよう
「お待ちしてました。ギルマスの部屋へどうぞ」
おっと、リリアナお姉さんが一人対応を終えたところで列を打ち切ってやってきた
周囲の視線が…お約束お約束
「わかりました」
はいはい役得役得
ギルマスの部屋なのにギルマスが居なかった
密室に二人きり!
いや妄想もほどほどに…
「ギルマスは別件でまだ外してますけど、大丈夫ですよね?」
「はい、問題ないです。所属地の登録はうまく行ったので、ヤマトで登録できるんじゃないかと思います」
「登録の前に、ステータスについてお話するのを忘れてました。まず見せてもらっていいですか?」
簒奪者は隠して…
「はい、ステータスオープン」
===
ハジメ 人 18 リスガー
状態:女神の加護(保護)
Lv 0 Exp 0
HP 194/194
MP 115/165
SP 186/178 (5%↑ 体術Lv1)
ATK 189 (5%↑ 体術Lv1)
DEF 181
MATK 143
MDEF 138
SPD 187 (5%↑ 体術Lv1)
STR 102
VIT 104
MGC 100
AGI 103
スキル:体術Lv1、[簒奪者Lv1、]収納魔法Lv1、女神の加護Lv1、最適化、存在強化、ステータス改、基礎魔法、パーティLv1
===
「うーん、改めて見ても色々とおかしいステータスですね。一言で言うと異常です」
「そ、そんなにですか」
「まず、基本値となるSTR〜AGIに対して係数を掛けて、算出値のHP〜SPDが決まると言われています」
「ほうほう」
「係数が1を大きく超える異常な値か、でなければ算出値にまた、それぞれ加護が効いてるんでしょう」
「そんな事がわかるんですか」
「鍛え方で係数や基本値の成長率が変わり、Lvが上がると基本値が上がります。が、それにしても異常です。でもこれが現実なんですよね」
「そこをなんとか!」
「基本値と算出値、どちらに合わせますか?」
「強い方!」
「はぁ…名前を変えるのでいいでしょう。Lvは前衛型で35くらいでしょうか。数値で言えば脱初心者あたりですね。もう少しで多少慣れた新人でしょうか」
「Expも実務経験も0なんですけどねー」
「ステータスに胡座をかくと大怪我しますよ。女神様関係のスキル、具体的には女神様のご加護からステータス改は隠した方がいいですね。収納魔法はどうしますか?」
「んー、とりあえず隠しておきます」
「続いて数値ですが、魔法関連は算出値をバッサリ100少し落としていいと思います。基本値はそれぞれ100ほど増やし、MGCだけは現在値から40〜50前後だけ落としてください。最後に全体の数値を散らしてください」
「わかりました!」
「Expはカードに表示されませんが、ステータスを見せる時のために資料を用意しておきましたので、これを参考にどうぞ」
「リリアナさん、有能すぎません…?」
「たまたま近いLvのステータスを見る機会が今日あっただけです。おだてておいて正解でした…」
「いやほんとに助かります!リリアナさんまじカッケー!」
ぞくっ
リリアナさんのこの眼鏡越しの覗き込む視線がクセになる!
じゃなくて確認してくれてるんだな
さっさと書き換えちゃおう
「はぁ…資料作成代として小銀貨8枚はツケておきます!利子は無しにしておきますので!」
「いきなり借金だー!?」
「そのうち返せます!さ、登録しましょうか」
「…魔石に触れればいいんですよね?」
魔石に触れると、光が集まりだした!
よしよし、ちゃんと女神様の加護が効果を発揮してる
とっとと力を付けて金を貯めて、会いに行くからな!
「はい、登録完了です!通常の魔力式ギルドカードが発行されました!」
「ありがとうございます!」
【冒険者ギルド登録証】
ヤマト 人 18 リスガー
Lv35 ランク 1
【発行:リスガー冒険者ギルド 3485/5/14】
「それでは登録時の説明をしますね」
「お願いします」
「まず、このギルドカードは失くさないようにしてください。本人の魔力で登録してあるのでチェックが入れば悪用できませんが、見せるだけの場合は他人でも悪用できてしまいます。また、各地で多くの場合は身分証としての扱いもされます」
指紋情報が入ってるようなイメージだな
「再発行は手数料に小銀貨一枚かかりますので、注意してください」
ハイテクっぽいし懲罰的なんちゃらってヤツか
「持っていれば討伐数のカウントは自動で記録されますが、再発行の時にはギルド未報告分はリセットされます。また、クエスト中に紛失した場合も、討伐数は最初からのスタートになります。討伐記録の読み出しは冒険者ギルド、並びに提携各所でのみ許可されますので、詐欺にご注意ください」
討伐数はギルドでセーブできるんだな
「次に、表示項目の説明です。登録地に変更が合った場合や、年齢、Lv、ランクが上がった場合は依頼の受注時か達成報告時に更新されます。更新のみの作業も受け付けています。更新手数料はいずれも不要です」
魔石に手を乗せるだけの簡単なお仕事ですね
「発行日ですが、更新すると発行が更新に表示が変わり、日付も変動します。カードの有効期限は更新から1年ですが、理由なく依頼の達成が1年間なければ失効します。その場合は再発行扱いになるので注意してください」
お仕事サボるなよ、と
「そしてランクの説明です。ランクは1からスタートし、実績に伴って上昇します。上限は特にありません。依頼は単独では同ランク以下のもののみ受けられます。冒険者が複数人のパーティの場合は、冒険者の平均ランクを算出して一つ上までです」
コロちゃんと二人だと、実質的に俺の単独ランクって事か
上位ランクってどんな人なんだろう
やっぱ化け物みたいな強さだったりするのかな
「討伐依頼は常設のものについては事後報告は受け付けてません。買取依頼にはランクが無く、常設なら持ち込むだけで達成ですが、臨時なら受注してからが行き違いがなくなります。達成報告は基本的に、受注した支部でのみ可能です」
今、抜け穴について説明したよな…?
「本来はここからギルドの歴史を掻い摘んで説明し、先人達に恥じない冒険者になってくださいね、と結びます。ハジメさんはもう知ってますからいいですよね」
「はい、大丈夫です」
「何か質問はありますか?」
「討伐依頼で事後報告を受け付けているものは、どういうものですか?」
「緊急の討伐依頼が出た場合に、その扱いになります」
「なるほど。受付を通してる時間が惜しい場合もありますもんね」
「そういう事です。常設のものは大抵、素材の買取の対象にもなってますよ」
「わかりました」
「ではこれで、ハ…ヤマトさんは正式に冒険者ギルドの一員になりました!これから末永く活躍してください!」
「ありがとうございます!」
これで俺も冒険者だー!
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