第2話 恋なんてもうするか。

 始業式から、数週間が経ち、転入生もこのクラスに慣れてきた。そして、俺も仁もその転入生とすっかり仲良くなっている。嫌いなんて思っていたのにね。転入生2人の名前は、仲良くなってからやっと覚えた。川口優介かわぐちゆうすけ工藤蓮くどうれんだ。俺は、どっちかつーと川口とのほうが仲がいい。まぁ、川口と仲良くなったのも、男子が大好きなあっち系のトークなんだけどね。まさか、あんな純粋で真面目そうな川口がそんな事を言うなんてびっくりした。

 数週間経っても、やはり俺は学校生活が本当につまらない。なんでだろうか。自分にどうしたらもっと楽しく学校生活を送れるか自問自答してみた。だが、考えれば考えるほど頭が爆発しそうだから、諦めた。

 そのまま俺は、つまらない、学校をなんとなく過ごした。そしてある日、じんと工藤と俺で話していたら、いきなり恋愛の話になった。まぁ、そういう話は嫌いじゃないけど。むしろ好きだ。仁に好きな人がいるかどうか、俺は聞いてみた。

「仁、お前好きな人おんの?」

とにやにやしながら聞いた。返事は、予想通り

「いるわけないやん。多分この学校じゃ好きな人はできない。」

と仁は笑いながら、答えた。すると、工藤がいきなり

「せいやは?」

とへらへらしながら俺に聞いた。俺は、勿論もちろんいない。ていうのは嘘で、。しかし、他校にいる。転校してしまったのだ。その好きな人ってのは、俺の元彼女だ。まぁ、周りのせいでそんなに長く続かなったんだけど。だけど、本当に好きだ。なぜか知らないけど、嫌いになれなかった。だから、俺は

「おるよ?他校に、、、、」

と答えた。すると、工藤は自分から聞いたくせに興味なさそうに

「へー。他校か。」

と言った。まぁ、そりゃそうか。他校の人には興味ないだろう。そして、俺はなんとなく仁のほうを向いた。すると、仁はにやにやしていた。こいつは、俺の好きな人の事を知っていたからだ。きっとそうに違いない。そんで、仁がにやにやしながら

「せいや、好きな人作るの?」

と聞いてきた。その瞬間俺は、「好きな人は、作るものじゃない。」と反論したかったが、

「俺、!」

と自分でも意味不明なこと言ってしまった。でも、それを言ったのは勉強だけに集中するっていう意味もある。でも、今年は絶対に。すると、俺は真面目に答えたのに、工藤と仁は笑っていた。少し腹たった。でも、別にいい。

 「さぁ~、帰ろうか。」

今日も、あの爽やかな笑顔の小森のこの言葉で俺の一日が終わった。

 「ポン」

今日も、バスの座席に座り、空を見上げた。今日の空は、暗くて悲しい色をしていた。俺は、その空を見て「会いたいな。」と誰かに向けて、その誰かに届くぐらい何度も何度も、心の中で叫んだ。その誰かってのは、転校してしまっただ。今日も、ため息をついて、バスが発車した。


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後輩に恋をしました。 山田 聖也 @yamadaseiya

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