第9話開戦

ぼくは 教室のドアを開けた

教室にいるクラスメイトが 一斉に ぼくの事を見た

まぁ 教室に入っていた人の事を見るのは 誰でもすることだ

しかし その視線は 席に着いてからも

少し続いた

ぼくは 黒板を見て驚いた

黒板には 相合い傘が描かれていた

そして 黒板には 卑田と多田という名前が描かれていた

ぼくは ある程度 噂にはされているとは思っていたが まさか 相合い傘を描かれるとは思っていなかったため 驚いた

それだけではなく

高校生になっても 相合い傘を描くということにも 驚いた 

ぼくは 黒板に描かれてる相合い傘を消した

こうなるのが嫌だから 女子と一緒にいたくないのだ

先生の立っている位置に立つとより 目立つ

そのような状況で 自分の名前が描かれてる相合い傘を消すだなんて 恥ずかしすぎる

日本猿か!というくらいに顔が赤くなりそうだ

まぁ お尻は 赤くならないがね


ぼくは 今日 一日休み時間はイヤホンをして 外からの刺激を遮断することにした

昼休みに 彼女がぼくのところを訪れた

昼休みには また 新しい相合い傘が描かれていた

今度は 筆圧も強かった

ぼくは 彼女が来る前に その相合い傘は消したが 薄く残ってしまっていた

彼女は ぼくのところに来て 

こう言った

「卑田くん 人気者じゃない🎵

 さすが 卑田くんだね」


「ふざけないでよ

 ぼくは そのせいで困ってるんだよ」


「ごめんね♪

 まぁ みんな 私と卑田くんのことを祝福してくれていると思えばいいじゃん」


彼女の ごめんね♪は可愛かった

ズッキューンとハートを撃ち抜かれるというのは こういうことをいうのではないかと 思うくらいだった


「祝福ってなんだよ?

 別に付き合っているわけではないじゃん」


「う~ん まぁ 確かに そうだね…

 じゃあ 付き合っちゃう?」


「なんで そういう発想になるんだ?」


「私の事 嫌いなの?」


あぁ~ 女子の面倒臭いところが出てきました


「いや~ 別に」


「別にじゃ分からない?

 好き 嫌いどっち?」


「いや… 急に言われても

 昨日会ったばかりだし…

 友だちとしては好きかな?…」


「ふーん まぁ 今 私の事を友達って認めたね

 ありがとう🎵」


なんか 引っかけられた気がして あまり気分がよくない


「じゃあ~ 女の子としては好き?嫌い?」


「いや… 昨日会ったばかりの人の事を好きになるなんて おかしいでしょ…」


「そぅ…」


彼女は教室から出ていった


何か悪いことを言ってしまったのだろうか



そんなことを思っていると 男子が電撃離婚だ~などと言いはじめた

勝手に 結婚したことにされていた

男子の幼さに 男子のぼくは落胆した

ぼくは 学校が終わると同時に帰ることにした

ぼくは すぐ荷物をまとめて

バックをもって 駅へと向かった

すると 多田さんが ぼくを追いかけてきた

ぼくは 逃げるのが面倒くさかったので 大人しく捕まった

多田さんの立ち直るのがはやいと心のなかで思ったが 流石に言えなかった

多田さんは またキラキラとした目をしていた

しかし 一緒に帰っていると

帰りの三本目の電車で 少し涙を流していた

ぼくは 気づいていたが 何故かを聞くことができなかった

帰りの四本目の電車の時 彼女がこう言った

「私ね 今 好きな人がいるんだ

 その子はね 自分に正直になれてない子でね…

 身長が高くてね

 顔も私のタイプなんだ

 普段は眼鏡をかけている子でね

 運動の時は 外してしているの…」


「そうなんだ…

 付き合ったりはしないの?」

ある程度 ぼくの事であるのではないかと思ったが ほくのこと?と聞いて 

違っていたら ぼくはただの痛い奴だ

まぁ いまでも 結構痛い奴だ

これ以上の痛みは 麻酔がないと耐えられないだろう

そのため これ以上痛い奴になっては いけない


「まぁ

 その子がね

 私の事を好きじゃないみたいでね…」


「そうなんだ…

 それは残念だね…」


「うん…

 その子が初めて好きになった男の子なんだ…

 つまり 初恋

だから 今 辛いの…」


「そうか~…

 ぼくでよければ 話を聞くよ」


「もう❗

 とっくに 気づいているんでしょ

 私が好きな人は 君だよ」


「ん?」


「とぼけないでよ

 私は 卑田くんの事が好きなの!🎵」

彼女は 電車の中で泣き始めてしまった

だから 女子は…と心のなかで

ぼくは思ったが その気持ちを抑え込んだ

「私 あぁいうの大丈夫だから

 気にしないで!

 だから 私と付き合ってくれない?」

「えっ…………」

「私じゃダメ?」

「いや そういう訳じゃないんだけど……

 逆に ぼくでいいの?」

「逆にぼくでいいの?とか言わないでよ🎵

 私の好きな人なんだから」

「ぼくと一緒にいると からかわれるかもよ

 ぼくと一緒にいると 君の方も気味悪がられるかもよ」

「だから そういうのは 気にしてないって! 

 何かあったら 私が守るから!

 本当は 守ってほしいけど……」

「そうか…」

「もう~ 決断力がないね

 じゃあ 次の駅までに決めてね」

次の駅は 彼女が降りる駅だ

いつの間にか もうこんなところまで来ていたのだ

彼女の駅の一個前の駅を電車が発車した

だんだん加速をしていった

それによって 彼女がぼくの方に寄ってきた

彼女は ぼくの肩に頭をのせた

彼女の髪から いい匂いがした

今までて一番近かっため より良い匂いを感じることができた

彼女の髪の匂いに気を取られているうちに 電車が駅に向けて減速しはじめた

ぼくは 彼女の方へ寄った

彼女の目は 少し潤っていた

今すぐにでも 泣き出しそうであった

そして 電車が停車した

すると 彼女がこう言った

「私と付き合っても良いのなら 

 そのまま無言でも良い

 私と付き合いたくないのなら 

 私の事を好きって言って! 」

変な条件を出してきたと思った

ぼくは 無言のままでいた

好きという勇気がなかったのではない

この人となら 何故か上手くいきそうな気がしたからだろう


彼女は 電車から降りた


ぼくは 家に着くまで ボワァーっとしていた


この頃のぼくには この出来事が開戦になるという事がわからなかったのだろうか

いや わかっていたに違いない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る