第17話 大怪奇?女神的ビフォーアフター




「うちにもコタツ欲しいなぁ。」


 毎回魔王城を訪れている内に、コタツが恋しくなってきた勇者ハルは、しみじみそう思う。

 魔王城にあるコタツなるあったかテーブルは、非常に中毒性が高く、出るのが嫌になる程である。

 どうやら一般には出回っていないらしく、ハルの知る限りでは魔王だけが持っている逸品だ。

 毎回魔王城に行かずとも、自宅で入れたらどれだけ良いか。そんな事を考えているハルはとある噂を耳にした。


「とある木こりがカムイ山の裏にある泉に斧を落としたらしい。すると、泉から女神様が出てきて、斧をより良いものに替えてくれたとか。」


 誰もが与太話と思い、鼻で笑ったその噂。

 馬鹿正直な彼女は信じた。

 更にカムイ山と言えば、魔物が徘徊する危険地帯。噂を聞いたところで実際に尋ねていけるものなど殆どいない。(そんな場所に木こりがいけるかという点でも疑わしいと思われていた)

 無駄に強い彼女はいけた。


 自宅のぼろいテーブルを背負うという無茶な格好で、そんなハンデありでもバッタバッタと魔物を薙ぎ倒して、勇者ハルは噂の泉に辿り着いた。


 通称"木こりの泉"。

 傍らに立つ、斧の刺さった大きな木が目印である。


「よーし!」


 ハルの目論見では、このぼろいテーブルをこの泉に投げ込むと、コタツにグレードアップする筈である。

 ハルは迷う事も疑う事も無く、喜々として自宅にひとつしかない大切なボロテーブルを泉に放り込んだ。


 ドボン!と泉に投げ入れられるテーブル。激しい水飛沫を立てた後、何度かぷかぷかと浮き沈みした後、テーブルは泉の底へと沈んでいった。


 わくわくしながら女神の登場を待つハル。


 途中、全然女神が上がってこないので、ハルは笑顔のまま冷や汗だらだらになっていたが、やがて願いは届いたのか、ぶくぶくと泉は泡立ち始める。

 そして、中から水色の髪の美しい女神が次第にせり上がってきた。


 目を閉じた女神がゆっくりと目を開く。そして、にこりと優しくハルに微笑みかけると、ゆっくりと口を開いた。


「ゴミ捨てたのお前か。」


 女神は笑顔のまま問う。


「ゴ、ゴミじゃないです。落としました。」

「こんな場所にテーブル落とす人間はいません。」


 女神が笑顔のまま正論を言う。ハルはぐうの音も出なかった。

 女神は笑顔で泉に沈んでいく。


「二度とするな。」

「ま、待って。」

「何ですか。」

「あなたが落としたのはってやつやって下さい。」


 ド直球でお願いするハル。女神は笑顔を崩さずに、沈む途中で停止した。

 半分身体を泉から出した状態で、女神は僅かに口元を引き攣らせた。


「……えっと。そこまで素直にお願いされた事はなかったので困惑しました。」

「駄目ですか?」

「うーん。そんな捨てられた子犬みたいな目で。うん。分かりました。まぁ、こんなの初めてですし、やります。」


 女神が再び泉の上に浮かび上がってくる。

 それに追随する形で、煌びやかな金色のテーブルと銀色のテーブルが自らせり上がってきた。


「あなたが先程落としたのはこの金のテーブルですか? 銀のテーブルですか?」

「コタツです。」

「ちょっと待って。」


 女神は一旦金のテーブルと銀のテーブルを泉に沈めた。


「女神、ツッコミが追い付かない。ド直球で嘘吐いたのもそうなんだけど、今なんて? こたつ?」

「コタツです。」

「その"こたつ"というのは、さっき落としたテーブルの名前ですか?」

「さっきのテーブルじゃなくて、コタツです。」

「『先程落としたのは』って聞いてるんだから、さっきのテーブルを否定しないでください。」


 女神は笑顔のまま頬に手を当て、ぼそりと呟いた。


「あぁ……欲深とか以前に残念な子だ……。」

「あの、何かお困りですか?」

「ごめんなさい。現在進行形であなたに困らされてるの。」


 女神はおほんと咳払いをし、気を取り直して笑顔を作る。

 ひょいと手を動かすと、ずずずと泉から先程ハルが投げ入れたテーブルが姿を現す。


「まず、多分あなたは勘違いしているから誤解を解くところから始めましょう。私はこの泉の女神。女神界隈では"オリフシ"と呼ばれてます。」

「私はハルと言います。勇者やってます。よろしくお願いします、オリフシ様。」

「あ、勇者なのね。えっ、勇者。勇者なのにこんなことを。」


 女神オリフシは笑顔を引き攣らせた。


「ハル。まずは誤解を解きましょう。この泉の逸話を聞いて来たんでしょうけど、あなたは勘違いをしています。」

「投げ入れたものがパワーアップして返ってくるんじゃないんですか?」

「うん。すごい勘違い。よく聞いてね、ハル。元々のこの泉の逸話は、『うっかり落としたものを正直に答えたら、正直者にご褒美におまけをつけてあげた』っていうお話なの。」


 ハルは女神オリフシの話を聞いて、「ああ。」と納得した。

 そして、オリフシの横に浮かぶ汚いテーブルを指差して言う。


「私はそのテーブルを落としました。」

「うん、すごく正直。自分の欲望に対して。でも、ちょっと待ってね。もう少し話を聞いて。……えっと、故意に投げ捨てるみたいなのは駄目なのよ? うっかり落とした気の毒な人を女神は助けるのであって……。」

「うっかり落としました。」

「うん。ちょっと待ってね。こんなところにテーブルをどうして持ってきたの?」

「コタツが……。」

「うん。ハル。目的は分かりました。でも女神、そもそも"こたつ"が何か知らないの。」


 オリフシの答えにハルはしょんぼり聞き返す。


「女神なのに知らないんですか?」

「『なのに』ってそんな。……でも、ええ。女神なのに知らないんです。逆に言えば、女神が知らないものなので、この世界にそもそも存在しないものなんじゃないかなって。知り合いの他所の世界の女神に今度聞いてみますね。……いやいやそういう話をしているんじゃないんです。」


 泉にもう一度テーブルを沈める。オリフシは優しい笑顔を少し解いて、キリッと厳しい表情で言い放つ。


「"こたつ"を知っている知らない関係なく、嘘吐きにあげるものはありません。正直者が報われる。嘘吐きは損をする。そういう教訓を与えるのが女神の仕事なんです。」

「なるほど。」

「分かって頂けたようで何よりです。」

「コタツについてはいつ頃調べて貰えますか?」

「ああ、分かってないな。これ。」


 女神は頭を抱えて、もう一度説明する。


「ハル。あなたは私に嘘を吐きました。ひとつ、『落としたのは汚いテーブルではなくこたつです』。ふたつ、『テーブルはうっかり落としました』。この二つは嘘ですよね? 正直に答えないと怒ります。」

「……嘘を吐きました。」

「よろしい。先程私は言いました。『正直者にはおまけをあげる』。嘘吐きはおまけは貰えません。ここまでは分かりましたか?」

「……分かりました。ごめんなさい。」

「うん。いいんですよ。分かってもらえれば。」


 丁寧に言って聞かせれば案外素直な勇者。女神オリフシはようやく安心して、にっこりと微笑んだ。


「これに懲りたら二度とこの泉に故意にものを投げ入れないで下さいね。」

「はい。気をつけます。」

「はい。それでは、さようなら。」

「あ、テーブル返して下さい。」

「え。返しませんよ。」

「え。」


 ハルはきょとんとし、女神は笑顔を崩さずに言う。


「言ったじゃないですか。嘘吐きは損をすると。嘘吐きには何もあげません。落としたものだって返しません。私が出てこなければ、沈んだまま取り戻せないんですし、同じ事でしょう? 泉に落としたものは諦めて下さい。そして、是非とも皆さんにも教えて差し上げて下さい。」


 ずずずと泉に沈みつつ、オリフシは悪い笑みを浮かべていた。


「正直者は報われる。嘘吐きは損をする。それでは、ご機嫌よう勇者さん。」


 女神オリフシはきこりの泉の中に消えていった。

 ぽかんとその様子を見送っていたハル。

 投げ入れたテーブルは戻ってこない。嘘を吐いた、欲をかいた代償であると言わんばかりに吹き付ける風の中で、途方に暮れてハルは膝を突いた。


 ぽろりと涙が零れる。


「ぐすっ。」


 勇者の泣き声が漏れる。

 すると、ざぶんと泉の水面が揺れて、女神の顔がにゅっと覗いた。


「えっ。泣いてるの?」


 オリフシは先程の笑顔とは打って変わって、心配そうに眉をハの字に垂らし、目だけ覗かせてハルの様子を窺っている。

 泣き声だけかと思ったら、涙を流しているのでいよいよ心配そうにオリフシは泉から首から上を出した。


「えっ。えっ。いじわるしすぎた? ごめん。ぼろいテーブルだったし、そこまで気にするなんて。」

「……大丈夫です。私が悪いんです。これからは床でご飯食べます。」

「えっ。そこは新しいテーブル買って? そんな、そこまで反省しろなんて女神も言ってない。」


 オリフシが腰の辺りまで泉から出てくる。口元を押さえておろおろしている。

 まさかそこまで卑下されるとは思ってもみなかったのだ。


「……新しいテーブルを買うお金がないです。」

「えっ。えっ。だって、あなた勇者……お金稼いでるんじゃないの?」


 まさかの懐事情に女神は戸惑う。

 勇者と言えば最高峰の称号である。それこそ仕事なんて探さずとも向こうからやってくるし、報酬もそんじょそこらの傭兵や冒険者などとは比べ物にならない筈。

 テーブルを買うくらいのお金はある筈だとオリフシは思っていたのだが。

 ハルは涙ながらに自身の懐事情を語る。


「……勇者として仕事するときはお金貰いません。」

「えっ。なんで。貰えばいいじゃない。」

「お金を貰って人助けをするのは、傭兵や冒険者の仕事ですから。貰えません。」

「女神はいいと思いますよ。労働の対価は正当な権利です。」

「いえ。そんなの貰えません。そういう傭兵や冒険者を雇うようなお金がなくて、本当に困っている人を助けるのが勇者なので。」


 女神はいよいよ全身を泉から出し、ハルの側に歩み寄る。

 おろおろしながら膝を突き、蹲るハルの肩を優しく撫でる。


「そんな。収入はどうしてるの?」

「狩りとか。農業とか。前からやってる仕事で。それも勇者活動で最近は力を入れられないのであまり。」

「えっ。王様はお金とかくれないの?」

「最初にくれましたけど、村の倉庫を修理するのに殆ど使ってしまって。」

「あなた大丈夫? ちゃんと食べてる? なんか、よく見たら勇者の割には装備が弱そうだし、血色悪いし、髪も乱れてるし……本当に大丈夫?」

「……弱音は吐けません。勇者ですから。」


 テーブルを没収されて打ちのめされているハルの痛々しい姿に、女神オリフシは泣きそうになる。


「そんな。あなたが一番困ってるように見えるわ。あっ、ごめん。今まさにあなたを困らせてるのは女神なんだけど。ごめんね。意地悪してごめんね。そんな事情知らなかったの。そうよね。美味しい話を聞いたら、縋りたくもなるわよね。分かりました。テーブルは返します。返しますから元気を出して。」

「……ありがとうございます、女神様。」


 涙を拭い、ハルが顔を上げる。強がる笑顔に、女神オリフシは胸を締め付けられる。


(捨てられた子犬みたいで可哀想になってきたわ……。誰もこの子を助けてくれないのね。……そうだ!)


 オリフシは閃く。

 オリフシがパンと手を叩くと、きこりの泉はぱかりと割れる。

 泉には階段があり、その下には一軒の小屋が建っていた。

 ハルが驚き、割れた泉を見下ろすと、女神オリフシは優しい笑顔を浮かべて、ハルに手を差し伸べた。


「いらっしゃい。美味しいものでも御馳走するから。」

「そんな……女神様に迷惑はかけられません。畏れ多いです。」

「いいのよいいのよ。女神はお節介なものです。それとも、余計なお世話かしら。」


 オリフシに差し伸べられた手。ハルは女神を見上げ、その手を素直に受け取った。

 オリフシに招かれ、女神の家にハルは踏み入る。

 中はこじんまりとしていたが、装飾に凝っており、女性らしさが窺える家だった。


 テーブルに招き寄せられ、ハルは座らせられる。

 オリフシがぱちんと指を鳴らすと、そこにはたちまち豪華な食事がずらりと並んだ。

 驚きオリフシの方をハルが振り返れば、にっこりと慈愛に満ちた笑みが返った。


「ささ。どうぞどうぞ。遠慮せずに。女神の力なんて減るものじゃありません。」

「あ、ありがとうございます。いただきます。」


 ハルが恐る恐る口をつけると、それは今までに味わった事のないようなものだった。


「お、美味しい。ほ、本当にこんなもの頂いてもよろしいのですか?」

「いいのいいの。女神の力なんて有り余ってるから。たんとお上がり。」


 そう言うと、ハルはにっこりと笑って、テーブルにずらりと並んだ食事をぱくぱくと食べ始めた。

 その様子を見ながら、女神オリフシは思う。


(かわいい……。)


 きこりの泉の噂を聞いて、ちゃっかりやってきてしまう。

 しかも、わざわざテーブルを背負ってここまでやってきてしまう。

 かと思えばそもそもきこりの泉の噂さえ曖昧で、ほぼノープランでテーブルを泉に投げ込む。

 改めて説明すると、バレバレな嘘をついて必死で誤魔化そうとする。

 それを叱ると、反省し、テーブルを返さないと言うとしょんぼりしてしまい、終いには泣き出してしまう。

 けれど、基本は善良で、そのせいで損を被っているせいでこうしてきこりの泉の噂に縋ろうとした。

 そして、何より食べる姿が本当に幸せそう。


 手が掛かるお馬鹿な子供を見ているようで、オリフシは無性にこの勇者が愛おしくなってきた。


 夢中で食べるハルの向かいに座り、オリフシはにっこりと笑った。


「ねぇねぇ。そういえば、"こたつ"ってどういうものなのですか? あ、口のものがなくなってからでいいですよ。」


 ハルは口の中のものを呑み込んでから、女神の質問に答える。


「あったかいテーブルです。魔王の家にありました。」

「へぇ。あったかいテーブル。魔法をかけたテーブルなのかしら? 魔王の家にあった……魔王?」


 魔王は流石にオリフシも知っている。

 この世界に突如として現れた"邪な者"。他所から災厄を持ち込んだ"魔性の者"。

 勇者はこの魔王を対処する為に、"英雄王"に選ばれた筈である。


「魔王の家って、ハルは言った事あるの?」

「しょっちゅう行きますよ。」

「え。それで争いにはならないの?」

「ご飯とか御馳走して貰ってます。」

「えっ。ちょっと待って。魔王よ? 敵よ? そこで、ご飯を御馳走になるの?」


 オリフシの問いにハルは「ははは。」と笑った。


「やだなぁ。敵でもなければ、ご飯たかって迷惑なんてかけられないじゃないですか。女神様みたいに誘って下さるような事もなければ。」

「た、確かに。いや、確かに? ちょっと待って、何かおかしくない?」


 敵なのでご飯をたかっていくら迷惑をかけても構わない。

 正しい事を言っているようで、根本的な所で何かが間違っている気がする。

 しかし、女神オリフシにはこれの何が間違いかを説明する事ができない。

 正確に言えば、「ハルに言い聞かせる言葉を思い付かない」。


(駄目だわこの子……話してて薄々感じてはいたけど。この子は基本は良い子なんだろうし、勇者としての自覚も十分にあるけど……根本的にアホなんだわ……! アホというか、常識が無いんだわ……!)


 不思議そうに首を傾げるハル。


「おかしい?」

「……えっと、うん。おかしくない! おかしくないわ!」


 オリフシは色々と放棄した。


(ユキはどういうつもりなの? この子を勇者に選ぶなんて。この子本当に大丈夫? 危なくない? そのうち可哀想な事になるんじゃ……。)


 心配になってくるオリフシ。しかし。


「よかった! また何か失礼をしたのかと思いました! 私、田舎育ちで常識がないので……。」


 安心したようににっこりと笑ったハル。その笑顔を見て、オリフシは悟った。


(私がこの笑顔を護らなくては……!)


 この危なっかしい勇者は私が護らねばならぬ。

 オリフシはこの世界に生まれ落ちてから初めて自身の使命を理解した。

 

「ハル、髪とか肌とかきちんとケアしてる?」

「あんまりした事ないです。汚いですか?」

「汚くはないけど、磨けばもっと光ると思うのよね。」

「そうなんですか。でも、やり方も分からないし、どうせすぐ魔物と戦ってたら汚れるし……。」


 それを聞いたオリフシは、ハルの肩に手を乗せて、にっこりと笑う。


「駄目よ。女の子なんだから。そうだ。私が綺麗にしてあげましょうか?」

「え? 悪いですよ。」

「遠慮しないの。大丈夫大丈夫。女神の趣味だから。色々なものを綺麗にするのが好きでこの仕事やってるようなものだから。」

「ええ? じゃ、じゃあ……お願いしてもいいですか?」

「はい、決まり! ああ、ご飯は食べてていいわ。すぐに終わるから。」


 オリフシのが司るのは"美化"。ありとあらゆるものを美しく変える魔法である。この力で、正直者の落としたものは何でも綺麗に変えてしまう。今回はこの魔法をハルにかける。

 すると、ハルの姿は見る見る内に変わっていく。

 少し乱れた髪はふんわりと整い、肌も綺麗になっていく。ついでに来ていた服までも変わり、まるで別人であるかのように姿が変わった。


「やっぱり! 見立て通りだわ!」


 オリフシは手鏡を取り出し、ハルの前に出す。

 それを見たハルは驚き、目を見開いた。


「これが……私?」


 ハルにも女性らしい感情はある。

 見違えた自分の姿に感動して、目を輝かせる。その喜ぶ様を見て、ますます女神オリフシは笑顔になるのであった。


「こたつも今度知り合いの女神に知らないか聞いておくからね。また来てね。」

「はい! ありがとうございます!」





 たくさん食べて、たくさん笑い、ハルは満足行くまで楽しんだ後に、きこりの泉の女神の家から帰宅する。

 すっかり綺麗になったハルが、ご機嫌に歌いながらスキップしていく様子を見送り、オリフシはほっこり微笑んだ。


 ハルの姿が見えなくなるまで見送って、オリフシは早速耳に手を当て、交信を始める。発信先は同じ女神であり、死者の魂の転生先を選ぶ仕事を請け負う大先輩。


「あ、もしもし。ヒトトセ先輩ですか。実は折り入って話したいことがありまして。」


 過剰に人間に干渉してはならない。そんな掟のある女神である筈のオリフシは、がっつり勇者ハルに干渉する事で、色々と運命が揺れ動いている事に未だ気付いていなかった。



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