結婚式と業務連絡

結婚式で私たちが重きをおいたテーマは

「肩ひじ張らない会にしよう」「会話がたくさんできる場にしよう」だった。

我々のために遠方から来てくれる人がいる。

普段なかなか会えない友人たちが、一堂に会する。

こんな機会はなかなか無い。我々の結婚式を口実に、みんなわいわいやってくれ。

そうだ、これはある意味「我々の関係者同窓会」なんだ。


そこまで言うと、担当のプランナーは苦笑していたように思う。

同窓会は言いすぎか。


しかし、気持ちは近いものがあった。我々の思うままに演出をして独りよがりになるよりも、私たちの結婚を喜んでくれる、祝うために集まってくれる、大切な方々とたくさん会話がしたいという本音があった。


肩ひじ張らない というのはどういうことか。

「結婚式」というとしきたりや礼儀で身構えたり、あまりにも非日常すぎてリラックスできない側面があると、過去の参加経験から感じていた。

一番リラックスできる…そしてある意味楽しみの一つである料理。これだ。ここを大事にしよう。

料理の作法などが気になる披露宴という場。これは一つのハードルだと仮説を持つ。

「お箸を使って楽しめる料理」を担当者と詰めた。ナイフとフォークなども用意するが、

お箸をつかって気楽に楽しんでほしい。このコンセプトも大事にした。


そのコンセプトを、シェフからコンセプトを伝えるか、新郎スピーチで伝えるか問われた。

シェフが料理を説明しているような場面は、乾杯も終わり、割とガヤガヤしていることが多い。(体験談)

せっかくなので、スピーチでお話することにした。


新郎スピーチ。仕事上、多くの人の前でお話することもちょっとはある。学生時代は教育実習で授業をしたこともある。人前で話すことには抵抗はない。


とても緊張したが、みなさんに丁寧に思いを伝えることができた。今日という日に集まってくれたことへの感謝、同窓会的に肩肘張らずに楽しんでほしいという思い、そしてお箸。


式の後、多くの人に楽しい式だったと評してもらえた。披露宴の中でも、余興も設けず、みなさんと話す場をたくさん設けたので、思った以上にわいわいできた。集まった方々同士も楽しそうにしていた。


「すごく良い式だった。でごさんぽかった。」


「お箸のくだりもよかった。業務連絡みたいだった。」



ぎょ、業務連絡。丁寧に話そうとするあまり無機質すぎたのか…!と恥ずかしくなるも、思うところがあった。

私はある意味「我々の関係者同窓会」の司会として、開会の辞を述べることができたのだ。

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